【令和8年版】予定納税の減額申請は7月15日まで|対象・計算式・書き方

予定納税の減額申請は第1期分が7月15日、第2期分のみは11月15日が期限です。予定納税基準額15万円以上の方が対象で、業況不振や所得減少見込みでも申請可。令和8年は基礎控除引上げで申告納税見積額が下がりやすく、減額申請の実益が増します。計算式・申請事由・書類提出方法を国税庁一次ソースに基づき解説します。

予定納税の減額申請は7月15日まで 令和8年版のアイキャッチ

結論:減額申請は7月15日まで・3つのポイント

予定納税は、前年の所得税額をベースに第1期(7月)・第2期(11月)に分割で前払いする仕組みです。前年より所得が減る見込みの方は「減額申請」で予定納税額を見積額に合わせて減らすことができます。期限を1日でも過ぎると当該期分の減額は受けられないため、まず3点を確認してください。

  1. 対象は予定納税基準額15万円以上の方

    所得税法104条1項。税務署からの通知書(6月15日までに送付)に「15万円以上」の記載があれば対象。15万円未満の方には通知が届かず、予定納税は不要です。

  2. 申請期限は7月15日(第1期・第2期両方を減額する場合)または11月15日(第2期分のみ減額)

    所得税法111条2項・3項。「7月31日まで」は納付期限であり申請期限ではない。期限を過ぎたら当該期分の減額不可。

  3. 令和8年分は減額申請の実益が増える

    基礎控除引上げ(本則58→62万、合計所得489万円以下は本則62万+特例加算42万=最大104万円相当)の影響で、令和8年分の申告納税見積額は令和7年分実績より小さくなりやすい。「業況不振」だけでなく「控除引上げによる見積減少」でも申請可。

この3点が押さえられれば行動は明確になります。以下で誤情報訂正・対象要件・計算式・期限カレンダーを順に解説します。

民間誤情報の訂正(混同しやすい4点)

予定納税の減額申請については、民間の解説サイトに混同しやすい誤情報が複数流通しています。所得税法・国税庁タックスアンサー(No.2040)を一次ソースとして確認した正しい情報を提示します。

予定納税 減額申請の誤情報4点

出典: 国税庁タックスアンサー No.2040 予定納税・所得税法104条/110条/111条(2026年5月時点)

減額申請の対象要件(自分は対象か)

減額申請ができるのは、予定納税の対象者です。所得税法104条1項により「予定納税基準額が15万円以上」の方が対象となります。15万円未満の方には通知が届かず、そもそも予定納税は不要です。

項目内容根拠
対象要件予定納税基準額が15万円以上所得税法104条1項
予定納税基準額前年分の所得税額(源泉徴収税額・定率減税等を除く)タックスアンサー No.2040
通知の送付所轄税務署長が6月15日までに書面通知所得税法110条1項
納付額基準額の3分の1ずつを第1期・第2期に分けて納付所得税法104条1項

通知書が届かない場合は予定納税不要

予定納税基準額が15万円未満の方には、税務署から通知書は送付されません。通知が届かない場合は予定納税の必要がないため、減額申請も不要です。基準額が15万円ちょうどの方は予定納税の対象(104条1項「15万円以上」)となるため、通知書を確認してください。

減額申請ができるのはどんな人か

上記の対象要件を満たし、かつ「申告納税見積額が予定納税基準額より少なくなる見込み」のある方が減額申請の対象です。具体的には次のいずれかに該当する場合です(所得税法111条1項)。

減額申請額の計算式と判定フロー

減額申請額は、再計算した「申告納税見積額」を基に算出します。基本式は次の通りです。

減額申請額の計算式(所得税法111条)

申告納税見積額 = 令和8年分の見込み所得 × 税率 − 各種控除

申請後の各期納付額 = 申告納税見積額 × 1/3

減額される金額 = (予定納税基準額 − 申告納税見積額)× 1/3

判定フロー(条件分岐2パターン)

減額申請の判定は、令和8年分の見積額と前年の予定納税基準額の大小で決まります。

ケース判定申請の可否
申告納税見積額 < 予定納税基準額令和8年分の見積額が前年より小さい減額申請可。各期の納付額が見積額の1/3ずつに減額される
申告納税見積額 ≧ 予定納税基準額令和8年分の見積額が前年と同等または増加減額申請は不要(通知通りの金額を納付)

申告納税見積額の根拠書類が必須

申請書には「申告納税見積額の計算根拠」を示す書類の添付が必須です。具体的には、令和8年分の収入・経費・控除を見積もった収支計算書や試算表、医療費控除を見込む場合の医療費明細などです。根拠が薄いと税務署から問い合わせや却下となる可能性があります。

予定納税減額申請の判定フローと計算式インフォグラフィック
申告納税見積額が予定納税基準額より小さい場合に減額申請可。各期の納付額は見積額の1/3ずつになる

所得税の見積額を計算する

減額申請の核となる「申告納税見積額」を算出するには、令和8年分の所得税を令和8年版の控除で再計算する必要があります。基礎控除引上げ・給与所得控除の見直しなどを反映した試算が必要です。

当ポータルの計算ツール

個人事業主の所得税計算ツール(令和8年度対応・無料)

売上・経費・控除を入力するだけで、令和8年版の所得税額(申告納税見積額)を算出。減額申請書の計算根拠書類の作成にもご利用いただけます。

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副業の所得税試算は 副業の所得税計算ツール、個人事業税の確認は 個人事業税計算ツール も合わせてご利用ください。

申請期限・納付期限カレンダー

予定納税の年間スケジュールは、税務署からの通知(6月15日)から最後の納付(11月30日)まで4つのマイルストーンがあります。

日付イベント対応者
6月15日まで税務署から「予定納税額の通知書」送付基準額15万円以上の対象者全員
7月15日まで第1期分・第2期分の減額申請期限見積額が基準額より小さい方
7月1日〜7月31日第1期分の納付期間(基準額の1/3)対象者全員
11月15日まで第2期分のみの減額申請期限7月以降に状況変化があった方
11月1日〜11月30日第2期分の納付期間(基準額の1/3)対象者全員

申請期限と納付期限を混同しないこと

申請期限(7月15日・11月15日)と納付期限(7月31日・11月30日)は別物です。「納付期限まで時間がある」と思って7月20日に申請しても、第1期分は受理されません。

第1期分の申請が間に合わなかった場合、第2期分のみ11月15日までに申請可能です。ただし第1期分は通知通りに納付する必要があるため、できるだけ7月15日までに第1期・第2期の合算で申請するのが望ましいです。

予定納税の年間スケジュール 6月15日通知・7月15日申請・7月31日納付・11月15日申請・11月30日納付タイムライン
申請期限(7/15・11/15)と納付期限(7/31・11/30)を混同しないこと。納付期限まで2週間のずれがある

提出方法と必要書類

項目内容
様式名所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書(書式A1-3)
提出先所轄税務署長
提出方法e-Tax・郵送・窓口持参のいずれでも可
添付書類申告納税見積額の計算根拠書類(収支計算書・試算表・医療費明細など)
書式入手先国税庁公式サイト

減額申請が認められる典型ケース

所得税法111条1項に列挙される事由は抽象的であるため、実務では税務署の判断になる部分があります。実務で減額申請が認められやすい典型ケースと、申請が通りにくいケースを整理します。

ケース事由判断ポイント
取引先の倒産・撤退で売上が前年比50%減業況不振前年同期比較資料・取引先の状況証憑
事業休止・休業届を提出休業休業届の控え・休業期間中の収支計算書
災害で店舗・設備が被害を受け売上減災害損失罹災証明書・被害額の見積書
医療費が前年より大幅増加(手術・入院)医療費控除の増加見込み医療費明細・診療報酬明細
扶養家族が増えた(出産・親の扶養追加)人的控除の増加見込み住民票・所得確認書類
基礎控除引上げで令和8年分の見積額減少所得税法111条1項6号(その他類似事由)令和8年版での見積試算書

申請が通りにくいケースの例

以下のケースは、添付書類だけでは認められにくく、税務署からの問い合わせが入ることがあります。

  • 「来年は売上が下がりそう」という主観的な見込みのみ(具体的な根拠資料なし)
  • 前年同期との比較データが揃わず、減少幅が定量化できないケース
  • 申告納税見積額が予定納税基準額より「わずかに少ない」程度(数千円〜1万円程度の差)

このようなケースで申請を通すには、根拠書類を厚く整え、必要に応じて税理士の助言を受けるのが確実です。

判断に迷ったら税理士に相談

減額申請は「申告納税見積額の計算が正確か」「事由が認められるか」の2点で税務署とやりとりが発生する手続きです。業況不振や大幅な所得減少が見込まれるが、根拠書類の作り方や見積額の計算に自信がない方は、税理士に相談してから申請するのが確実です。誤った見積額で申請すると、後の確定申告で過少申告加算税や延滞税のリスクが生じる可能性があります。

令和8年分の特殊事情(基礎控除引上げの実益)

令和8年(2026年)分の所得税は、基礎控除が大幅に引き上げられました。これは令和8年度税制改正(2026年4月施行)による変更で、予定納税の減額申請の実益を高めます。

項目令和7年分(前年)令和8・9年分(本年・特例)
基礎控除本則58万円・所得別95〜58万円(特例加算込み)本則62万円・489万円以下で最大104万円(62万+特例加算42万)
給与所得控除(最低保障)65万円74万円(令和8・9年分特例)
予定納税基準額令和7年分の所得税額をベース令和7年分の所得税額をベースに通知(変更なし)
申告納税見積額令和7年版控除で計算令和8年版(引上げ後)の控除で再計算

基礎控除引上げで申告納税見積額が下がる仕組み

予定納税基準額は令和7年分の所得税額(旧基礎控除ベース)で計算されます。一方、令和8年分の申告納税見積額は令和8年版の基礎控除(本則62万円、489万円以下で最大104万円相当)で再計算します。

つまり、収入が前年と同じでも、控除額が増えた分だけ令和8年分の見積額は前年より小さくなります。差額が出る方は減額申請の対象となり得るため、令和8年版で再計算してみることが重要です。

令和8年版の控除を反映した所得税の見積りは、当ポータルの 個人事業主の所得税計算ツール で確認できます。

よくある質問(FAQ)

予定納税の減額申請の期限はいつまでですか?

第1期分・第2期分の両方を減額する場合は7月15日まで、第2期分のみを減額する場合は11月15日までが期限です。「7月31日まで」と記載している民間サイトがありますが、これは納付期限であって申請期限ではありません。期限を過ぎると当該期分の減額は受けられなくなります。

業況不振でも減額申請はできますか?

できます。所得税法111条では「廃業・休業」「業況不振」「災害・盗難」「医療費控除等の著しい増加見込み」「所得の大幅減少見込み」など複数の事由が認められています。「廃業しないと申請できない」という解説は誤りです。前年に比べて売上や所得が大きく減る見込みであれば、業況不振として申請可能です。

減額申請をしたら全額が戻ってきますか?

減額申請は「申告納税見積額に応じた金額まで予定納税額を減らす」手続きであり、納付済みの全額が即時還付される制度ではありません。減額が認められた場合、第1期・第2期の納付額が見積額の3分の1ずつに減額されます。年間の精算は翌年3月の確定申告で行い、過納分があればそこで還付されます。

令和8年分は減額申請の実益が増えると聞きました。本当ですか?

本当です。令和8・9年分の特例として基礎控除が引き上げられ(合計所得489万円以下で最大104万円。489〜655万円は67万円、655〜2,350万円は本則62万円)、申告納税見積額が令和7年分実績より小さくなる方が増えます。予定納税基準額は令和7年分の所得税額をベースに通知されるため、令和8年分の見積額がこれを下回るケースで減額申請の対象となりやすくなります。

減額申請に必要な書類は何ですか?

「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」(国税庁書式A1-3)に加えて、申告納税見積額の計算根拠を示す書類(収支計算書・試算表など)の添付が必要です。提出先は所轄税務署長で、e-Tax・郵送・窓口持参のいずれでも受付されます。書類は国税庁公式サイトからダウンロードできます。

出典・参考法令

本記事は以下の一次ソースに基づいて作成しています(2026年5月時点)。

本記事は2026年5月時点の情報に基づいて作成しています。税制は改正により変更されることがあります。最新情報は国税庁公式サイトでご確認ください。個別のケースの判断は税理士等の専門家にご相談ください。

本ツールは令和8年度(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。