法定福利費計算ツール(賞与・介護保険対応)

従業員数と平均月給から会社負担分の法定福利費を即計算。シンプル/詳細モードで賞与・40歳以上の介護保険料も年間ベースで試算できます。

執筆: 業務計算ポータル編集部 / 最終更新: 2026年5月17日

協会けんぽの都道府県別料率を適用します

労災・雇用保険の料率が業種ごとに自動で切り替わります

通勤手当を含む総支給額を入力してください

年間トータル精度を上げたい場合は「詳細」を選択

未入力: 従業員数、平均月給(総支給額)
法定福利費計算ツール 令和8年度版 賞与・介護保険対応

法定福利費とは?福利厚生費との違い

法定福利費とは、法律によって会社負担が義務付けられている社会保険料・労働保険料のことです。 具体的には、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険・子ども子育て拠出金の5項目を指します。

これに対し福利厚生費は、会社が任意で支出する費用(健康診断補助・社員旅行・住宅手当の一部・慶弔見舞金など)です。 会社の方針で支出有無や金額が変わります。

法定福利費と福利厚生費の違い(2026年現在)
項目法定福利費福利厚生費
法律上の義務あり(社会保険・労働保険の各法令)なし(会社の任意)
対象社会保険・労働保険の5項目健康診断・社員旅行・住宅補助 等
金額の決まり方法定の料率に基づき自動計算会社の規程で任意設定
会計勘定科目法定福利費福利厚生費
消費税の扱い不課税内容により課税/非課税が分かれる

会社の決算書では勘定科目を別々に管理するのが一般的です。法定福利費は給与に比例して必ず発生するコストなので、毎月の人件費試算に必須の項目になります。

法定福利費の5つの内訳と料率(令和8年度)

法定福利費は、以下の5項目で構成されます。令和8年度(2026年度)の協会けんぽ・厚生労働省・日本年金機構の公表値を引用しています。

出典: 全国健康保険協会・日本年金機構・厚生労働省 公式公表値(令和8年度)
内訳合計料率会社負担分従業員負担分備考
健康保険料9.85%(東京都)4.925%4.925%都道府県別/40歳以上は介護保険1.62%上乗せ
厚生年金保険料18.30%9.15%9.15%全国一律/平成29年9月以降固定
雇用保険料1.45%(一般)0.90%0.55%業種別/建設業1.75%・林業/漁業1.65%
労災保険料0.30%(一般)0.30%負担なし全額会社負担/業種別(建設0.95%・林業6.0%)
子ども子育て拠出金0.36%0.36%負担なし全額会社負担/全業種一律

東京都・一般業種・40歳未満の合計(会社負担分)

会社負担の合計料率(東京都・一般業種・40歳未満)

健康保険 4.925%

厚生年金 9.150%

雇用保険 0.900%

労災保険 0.300%

子ども子育て 0.360%

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合計 15.635%

この15.635%が、東京都の一般業種で従業員を雇用する際の法定福利費の標準的な比率です。地域・業種・年齢によって変動します。

計算方法のステップ|月給30万円の具体例

法定福利費の基本的な計算式は「対象賃金 × 各料率 × 会社負担割合」です。 毎月の給与計算では、5項目それぞれを計算して合算します。

計算式(標準形)

月額の法定福利費 計算式

健康保険料(会社負担)= 標準報酬月額 × 健保料率 × 1/2

厚生年金保険料(会社負担)= 標準報酬月額 × 18.30% × 1/2

雇用保険料(会社負担)= 賃金総額 × 業種別の会社負担率

労災保険料(会社負担)= 賃金総額 × 業種別料率(全額会社負担)

子ども子育て拠出金 = 標準報酬月額 × 0.36%(全額会社負担)

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月額合計 = 上記5項目の合計

標準報酬月額と賃金総額の違い

健康保険・厚生年金・子ども子育て拠出金は標準報酬月額(毎月の報酬を区分表に当てはめた金額)を基準にします。 雇用保険・労災保険は賃金総額(実際に支払った給与額)を基準にします。 通勤手当はどちらも算定基礎に含めますが、結婚祝金など臨時的支給は除外されます。

具体例:月給30万円・東京都・一般業種・40歳未満

標準報酬月額が30万円のケースで、各項目を順に計算します。

月給30万円・東京都・一般業種・40歳未満の従業員1人あたり(令和8年度)
項目計算式会社負担額(月額)
健康保険料300,000円 × 9.85% × 1/214,775円
厚生年金保険料300,000円 × 18.30% × 1/227,450円
雇用保険料300,000円 × 0.90%2,700円
労災保険料300,000円 × 0.30%900円
子ども子育て拠出金300,000円 × 0.36%1,080円
合計(会社負担・月額)46,905円

月給30万円なら、会社は給与とは別に毎月約46,905円、年間で約56万3千円を法定福利費として負担します。 賞与(夏冬2回・各1ヶ月分)を含めると、年間では約65万円程度に膨らみます。

業種別・都道府県別で料率が変わる注意点

都道府県別の健康保険料率(協会けんぽ・令和8年度・主要4都市)

協会けんぽの健康保険料率は事業所所在地の都道府県で決まります。 従業員の住所ではなく事業所の住所が基準です。

出典: 全国健康保険協会 令和8年度都道府県別保険料率
都道府県健康保険料率会社負担分東京都との差
東京都9.85%4.925%基準
愛知県9.93%4.965%+0.04%
京都府9.89%4.945%+0.02%
大阪府10.13%5.065%+0.14%
佐賀県(最高)10.55%5.275%+0.35%
新潟県(最低)9.21%4.605%−0.32%

業種別の雇用保険料率(令和8年度)

出典: 厚生労働省 令和8年度雇用保険料率
業種合計料率会社負担従業員負担
一般の事業(卸売・小売・サービス・製造等)1.45%0.90%0.55%
農林水産・清酒製造1.65%1.00%0.65%
建設業1.75%1.10%0.65%

業種別の労災保険料率(令和8年度・主要業種抜粋)

労災保険料率は業種ごとに大きく異なります。全額会社負担なので、業種を間違えるとそのまま影響を受けます。

労災保険料率は実際には更に細かく業種区分されます。詳細は厚生労働省「労災保険率表」を確認してください。
業種労災料率会社負担
一般(卸売・小売・サービス・金融等)0.30%全額
製造業(一般)0.60%全額
建設業(一般)0.95%全額
漁業1.80%全額
林業6.00%全額

建設業の合計料率は18%超

建設業の場合、健康保険9.85%(東京都)・厚生年金18.30%・雇用保険1.75%・労災0.95%・子ども子育て拠出金0.36%を合算すると、会社負担分だけで約16.4%に達します。林業(労災6.0%)では20%超になるケースもあります。

賞与・40歳以上の介護保険・産休育休免除の特殊ケース

法定福利費の計算で見落としやすい3つの特殊ケース

  • 賞与にも社会保険料がかかる: 標準賞与額に各料率を掛けて計算します。健康保険は年度(4/1〜翌3/31)累計573万円、厚生年金は1回あたり150万円が上限。雇用保険・労災には上限なし。
  • 40歳以上は介護保険料が上乗せ: 40〜64歳の従業員(介護保険第2号被保険者)は健康保険料に介護保険料1.62%が上乗せされ、合計料率は約11.47%(東京都)になります。会社・従業員ともに+0.81%ずつ負担増。
  • 産前産後・育児休業中は社会保険料が免除: 産前産後休業(産休)と育児休業(育休)の期間は、健康保険料・厚生年金保険料・子ども子育て拠出金が会社負担分・従業員負担分ともに免除されます。年金記録には休業前の標準報酬月額で記録され続けます。手続きは年金事務所への申出が必要です。

40歳以上の介護保険料を含めた料率(東京都)

40歳以上・東京都・一般業種の会社負担合計

健康保険+介護保険 (9.85% + 1.62%) × 1/2 = 5.735%

厚生年金 18.30% × 1/2 = 9.150%

雇用保険 一般会社負担 = 0.900%

労災保険 一般 = 0.300%

子ども子育て 全額会社負担 = 0.360%

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合計 = 16.445%

40歳以上の従業員1人あたり、月給30万円なら毎月約49,335円(40歳未満より約2,430円増)の会社負担となります。

自社計算 vs 給与計算ソフト導入

法定福利費の計算は、Excelやこのツールで自社で行うことも、給与計算ソフトを導入して自動化することもできます。 規模・体制によってどちらが適しているかが変わります。

自社で計算する

  • 月額コストゼロで運用できる
  • 急な料率変更にも自分のペースで対応できる
  • 計算の中身を完全に理解した上で従業員に説明できる
  • 従業員数が少ない(5名以下程度)ならExcelで十分回せる

給与計算ソフトを導入する

  • 料率改定が自動反映されミスを防げる
  • 給与明細・年末調整・電子申請まで一気通貫で対応
  • 社員数の増加・複数事業所への対応が容易
  • 給与計算担当者の異動・退職リスクに強い

コストと時間の目安(従業員規模別)

自社計算とソフト導入のどちらが合理的かは、従業員数で大きく変わります。月の計算工数を人件費換算して比較すると、規模ごとの判断目安は次のようになります。

時給3,000円換算・freee人事労務およびマネーフォワード給与の公開試算を参考に編集部が整理
従業員規模月の計算所要時間(目安)人件費換算導入判断の目安
1〜5名約30分〜1時間約1,500〜3,000円自社計算でも十分
6〜15名約2〜4時間約6,000〜12,000円給与計算ソフトの導入を検討する価値が高い
16名以上約5時間〜約15,000円〜給与計算ソフトの導入がほぼ必須

この表はあくまで「毎月の計算工数だけ」を切り出した目安です。初年度の設定移行や担当者の学習コストも加味すると、実際の損益分岐は1〜2ヶ月後ろにずれます。

こんな会社は給与計算ソフトを検討すべき

給与計算ソフト導入を前向きに検討したい状況

  • 従業員10名以上で毎月の計算工数が増えている: 自社計算の人件費がソフト料金を上回りやすい規模
  • 年末調整・電子申請も自動化したい: 紙運用や手作業の年末調整に毎年20〜40時間取られている会社
  • 給与計算担当者が異動・退職予定: 属人化リスクをソフトに移し、引継ぎ工数を減らしたい
  • 料率改定の追従ミスを過去にやらかした: 健保・雇用保険の年次改定をソフト側に任せて事故を防ぎたい

逆に、従業員5名以下・年末調整も社労士に外注済み・担当者が長年安定している会社では、ソフト導入のメリットは限定的です。現状の運用がうまく回っているなら無理に切り替える必要はありません。

よくある質問(FAQ)

Q1. 健康保険料の「労使折半」とはどういう意味ですか?

健康保険料は事業主(会社)と被保険者(従業員)がそれぞれ同額を負担する仕組みです(健康保険法160条)。たとえば協会けんぽ東京都の令和8年度保険料率9.85%の場合、事業主負担は4.925%、従業員負担も4.925%です。40〜64歳の従業員には介護保険料1.62%が上乗せされ、こちらも同様に折半(各0.81%)となります。一方、労災保険料は全額事業主負担で従業員の折半はありません。

Q2. 厚生年金保険料率18.30%はいつから固定なのですか?

厚生年金保険料率は2017年(平成29年)9月分から18.30%で固定されています(厚生年金保険法81条)。それ以前は段階的に引き上げられてきましたが、現在は法令上の上限に達しており、令和8年度(2026年度)においても変更はありません。労使折半のため事業主負担は9.15%です。標準報酬月額に上限(第32等級・65万円)があり、上限を超える報酬分は保険料の対象外となります。

Q3. 賞与を支給した場合、法定福利費はどう変わりますか?

賞与にも社会保険料が課税されます(標準賞与額:1,000円未満切捨て)。健康保険料は年度(4月〜翌3月)の累計573万円が上限、厚生年金保険料は1回あたり150万円が上限です。事業主負担の料率は月給と同じで、賞与総額×(健保率/2+厚年率/2)が概算の追加負担額となります。本ツールの詳細モードで年間賞与総額を入力すると、賞与分を含めた年間法定福利費を試算できます。

Q4. 標準報酬月額と実際の月給が違うのはなぜですか?

社会保険料の計算基礎は実際の月給ではなく「標準報酬月額」という等級区分(50等級)で決まります(健康保険法40条)。毎年4〜6月の給与の平均を基に9月に改定(定時決定)されるため、4月以降に昇給していても保険料は翌9月まで旧額のままとなることがあります。通勤手当も月給に含めて計算するため、通勤費が高い従業員は1等級上がる場合があります。本ツールは月給入力をそのまま料率に掛けるため、実際の社保額とは数%のズレが生じます。

Q5. 雇用保険の事業主負担料率は業種によってどう違いますか?

雇用保険料の事業主負担は業種によって異なります。一般事業は0.85%(被保険者負担0.55%と合計1.40%)、農林水産業・清酒製造業は0.95%(合計1.60%)、建設業は1.05%(合計1.65%)です(厚生労働省告示、令和6年度確定値)。子ども・子育て拠出金(0.36%)と合算すると、一般業種の事業主合計負担は給与の1.21%となります(雇用保険法14条・同法施行規則)。

Q6. 産休・育休中の従業員の社会保険料はどうなりますか?

産前産後休業・育児休業中は、本人(被保険者)と事業主の双方について健康保険料・厚生年金保険料が免除されます(健康保険法159条、厚生年金保険法81条の2)。免除は休業開始月から終了月の前月(終了日が月末の場合は終了月)までです。雇用保険料・労災保険料は休業中でも給与支払いがある月のみ課税されます。免除期間中も社会保険の被保険者資格は維持され、将来の年金額にも影響しません。

Q7. 4〜6月の残業が多いと社会保険料が上がるというのは本当ですか?

その通りです。毎年4〜6月に支払った給与(残業代・通勤手当を含む)の3ヶ月平均をもとに、9月から翌8月まで適用する標準報酬月額が改定されます(定時決定、健康保険法41条)。この期間の残業が多いと標準報酬月額が1〜数等級上がり、9月以降の社会保険料(本人・会社の両方)が増加します。従業員数が多い企業では、4〜6月の残業抑制で年間の法定福利費を最適化できるケースがあります。詳細は社会保険労務士にご確認ください。

Q8. 本ツールの計算結果と実際の社会保険料の主な誤差要因は何ですか?

主な誤差要因は4点です。①標準報酬月額の等級丸め(月給をそのまま料率に掛けるため、等級境界近辺で差が出る)、②健保組合加入の場合(協会けんぽ以外は料率・折半割合が独自)、③賞与の標準賞与額上限(健保573万円/年・厚年150万円/月)の未考慮(シンプルモード)、④労災保険料率の概算化(本ツールは5バケット、実際は54業種)です。正確な予算策定・経理処理には年金事務所や社会保険労務士への確認をおすすめします。

Q9. 年度途中に料率が改定されたらどう対応すればよいですか?

健康保険料率は毎年3月分(4月納付分)から、雇用保険料率は4月1日から新年度料率が適用されます。料率改定があった月から新料率で計算しなおすだけで、過去分の遡及計算は不要です。協会けんぽ・厚生労働省の公式サイトで毎年2〜3月頃に発表されるため、給与計算ソフトの料率設定を更新するのを忘れないようにしてください。

出典・編集情報

本ツールおよび解説は、以下の公的機関の公表情報を一次ソースとして作成しています。

執筆: 業務計算ポータル編集部 / 最終更新: 2026年5月17日

本サイトの編集方針・収益化方針については以下をご参照ください。

※ 計算結果は参考値です。正式な手続きには年金事務所・労働基準監督署、または社会保険労務士にご確認ください。

本ツールは令和8年度(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。