法定福利費計算ツール(賞与・介護保険対応)
従業員数と平均月給から会社負担分の法定福利費を即計算。シンプル/詳細モードで賞与・40歳以上の介護保険料も年間ベースで試算できます。
法定福利費とは?
法定福利費とは、法律で企業に支払いが義務付けられている社会保険料・労働保険料の会社負担分のことです。 従業員の給与に対して一定の料率で発生し、企業の人件費の重要な構成要素です。 目安として、給与総額のおおむね15〜16%が会社負担として上乗せになります。
こんな場面で使えます
- 採用コストの見積もり: 月30万円で1人採用した場合、社保込みで月いくら増えるか
- 年間人件費シミュレーション: 賞与込みで年間いくら会社が負担するか(詳細モード)
- ベースアップの影響試算: 全社員1万円ベアの社保インパクトを2回計算で差分確認
- 従業員向けの説明資料: 「会社はあなたの給与以外にいくら負担しているか」
シンプルモード / 詳細モード の使い分け
本ツールは2つのモードを用意しています。当たり付け用途ならシンプル、年間予算策定なら詳細がおすすめです。
- シンプルモード: 月給ベースで概算の月額・年額(月額×12)を即答。 40歳未満・賞与なしの前提で最小入力(4項目)。
- 詳細モード: 賞与の年間総額と40歳以上の従業員数を追加入力。 賞与分の社保と介護保険料(第2号被保険者)を反映した、より実勢に近い年間合計が出ます。
法定福利費の内訳
- 健康保険料: 労使折半。協会けんぽの場合、都道府県ごとに料率が異なる
- 介護保険料(第2号): 40〜64歳の従業員は健康保険料率に +1.62% が上乗せ(労使折半)
- 厚生年金保険料: 労使折半。料率は18.30%で固定
- 雇用保険料(会社負担): 業種により異なる。一般0.85% / 建設業1.05% / 農林水産・清酒製造0.95%
- 子ども・子育て拠出金: 全額会社負担。料率0.36%
- 労災保険料: 全額会社負担。業種により料率が異なる(0.25〜8.8%超の幅)
業種別の労災料率(概算バケット)
労災保険料率は業種によって桁違いに変わります。事故リスクの低いサービス業と、リスクの高い林業・建設業では20倍近い差が出ます。 本ツールでは代表的な5バケットの概算料率を選択できます。
- 一般(0.30%): 卸売・小売業、金融・保険業、サービス業、情報通信業など
- 製造業(0.60%): 機械器具製造、食品製造、その他の製造業など
- 建設業(0.95%): 建築事業、土木工事、既設建築物設備工事など(平均的な概算)
- 林業(6.00%): 木材の伐出、造林、その他の林業
- 漁業(1.80%): 海面漁業、内水面漁業、定置網漁業など(平均的な概算)
正確な料率は業種ごとに細かく分かれています(全54業種)。厚生労働省の公表資料で自社の業種を確認してください。 同じ建設業の中でも「水力発電施設新設事業」は6.2%、「機械装置の組立て据付けの事業」は0.6%と大きく異なります。
計算の根拠
本ツールでは、協会けんぽ令和8年度(2026年3月分・4月納付分〜)の都道府県別保険料率を使用しています。 雇用保険料率は厚生労働省告示の業種区分(一般・農林水産/清酒製造・建設)に従い、業種選択と連動して自動適用されます。 労災保険料率は厚生労働省告示の業種別料率を5バケットに概算化したものです。
概算の限界と誤差の主な要因
本ツールは月給ベースの簡易計算であり、以下の要因で実額とは数%〜10%程度のズレが生じます。 経理処理・正式な見積書には本結果をそのまま転記せず、必ず社会保険労務士・年金事務所にご確認ください。
- 標準報酬月額との差: 実際の社保料は月給そのものではなく「標準報酬月額」の等級表で決まります。通勤手当の扱いで1等級変わることがあります
- 介護保険の開始月: 満40歳の誕生日の前日が属する月から徴収開始。誕生月の境目でひと月ズレる可能性があります
- 賞与の標準賞与額上限: 健康保険573万円/年、厚生年金150万円/月の上限あり。詳細モードではこの上限を考慮していません
- 産休・育休中の免除: 産前産後・育児休業中は本人・会社ともに社保料が免除されます
- 健保組合加入の場合: 協会けんぽ以外の健保組合は料率・事業主負担割合が独自に決まっています
- 労災の細分化: 同じ業種区分でも細かい事業区分で料率が異なります(全54業種)
よくある質問(FAQ)
Q1. 健康保険料の「労使折半」とはどういう意味ですか?
健康保険料は事業主(会社)と被保険者(従業員)がそれぞれ同額を負担する仕組みです(健康保険法160条)。たとえば協会けんぽ東京都の令和8年度保険料率9.85%の場合、事業主負担は4.925%、従業員負担も4.925%です。40〜64歳の従業員には介護保険料1.62%が上乗せされ、こちらも同様に折半(各0.81%)となります。一方、労災保険料は全額事業主負担で従業員の折半はありません。
Q2. 厚生年金保険料率18.30%はいつから固定なのですか?
厚生年金保険料率は2017年(平成29年)9月分から18.30%で固定されています(厚生年金保険法81条)。それ以前は段階的に引き上げられてきましたが、現在は法令上の上限に達しており、令和8年度(2026年度)においても変更はありません。労使折半のため事業主負担は9.15%です。標準報酬月額に上限(第32等級・65万円)があり、上限を超える報酬分は保険料の対象外となります。
Q3. 賞与を支給した場合、法定福利費はどう変わりますか?
賞与にも社会保険料が課税されます(標準賞与額:1,000円未満切捨て)。健康保険料は年度(4月〜翌3月)の累計573万円が上限、厚生年金保険料は1回あたり150万円が上限です。事業主負担の料率は月給と同じで、賞与総額×(健保率/2+厚年率/2)が概算の追加負担額となります。本ツールの詳細モードで年間賞与総額を入力すると、賞与分を含めた年間法定福利費を試算できます。
Q4. 標準報酬月額と実際の月給が違うのはなぜですか?
社会保険料の計算基礎は実際の月給ではなく「標準報酬月額」という等級区分(50等級)で決まります(健康保険法40条)。毎年4〜6月の給与の平均を基に9月に改定(定時決定)されるため、4月以降に昇給していても保険料は翌9月まで旧額のままとなることがあります。通勤手当も月給に含めて計算するため、通勤費が高い従業員は1等級上がる場合があります。本ツールは月給入力をそのまま料率に掛けるため、実際の社保額とは数%のズレが生じます。
Q5. 雇用保険の事業主負担料率は業種によってどう違いますか?
雇用保険料の事業主負担は業種によって異なります。一般事業は0.85%(被保険者負担0.55%と合計1.40%)、農林水産業・清酒製造業は0.95%(合計1.60%)、建設業は1.05%(合計1.65%)です(厚生労働省告示、令和6年度確定値)。子ども・子育て拠出金(0.36%)と合算すると、一般業種の事業主合計負担は給与の1.21%となります(雇用保険法14条・同法施行規則)。
Q6. 産休・育休中の従業員の社会保険料はどうなりますか?
産前産後休業・育児休業中は、本人(被保険者)と事業主の双方について健康保険料・厚生年金保険料が免除されます(健康保険法159条、厚生年金保険法81条の2)。免除は休業開始月から終了月の前月(終了日が月末の場合は終了月)までです。雇用保険料・労災保険料は休業中でも給与支払いがある月のみ課税されます。免除期間中も社会保険の被保険者資格は維持され、将来の年金額にも影響しません。
Q7. 4〜6月の残業が多いと社会保険料が上がるというのは本当ですか?
その通りです。毎年4〜6月に支払った給与(残業代・通勤手当を含む)の3ヶ月平均をもとに、9月から翌8月まで適用する標準報酬月額が改定されます(定時決定、健康保険法41条)。この期間の残業が多いと標準報酬月額が1〜数等級上がり、9月以降の社会保険料(本人・会社の両方)が増加します。従業員数が多い企業では、4〜6月の残業抑制で年間の法定福利費を最適化できるケースがあります。詳細は社会保険労務士にご確認ください。
Q8. 本ツールの計算結果と実際の社会保険料の主な誤差要因は何ですか?
主な誤差要因は4点です。①標準報酬月額の等級丸め(月給をそのまま料率に掛けるため、等級境界近辺で差が出る)、②健保組合加入の場合(協会けんぽ以外は料率・折半割合が独自)、③賞与の標準賞与額上限(健保573万円/年・厚年150万円/月)の未考慮(シンプルモード)、④労災保険料率の概算化(本ツールは5バケット、実際は54業種)です。正確な予算策定・経理処理には年金事務所や社会保険労務士への確認をおすすめします。
※ 計算結果は参考値です。正式な手続きには年金事務所・労働基準監督署、または社会保険労務士にご確認ください。
本ツールは令和8年度(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。
このツールをより使いやすくするため、ご意見を募集しています。
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