雇用保険計算ツール|令和8年度料率対応(一般・建設・農林水産)
賃金総額から被保険者負担・事業主負担の雇用保険料を令和8年度料率で即計算。通勤手当込み・月額年額切替・週20時間/31日要件の適用判定まで対応。
こんな場面で使えます
- 飲食店オーナーがパート採用時: 「月13.2万円で1人採用。雇用保険料はいくら天引きすればいい?」を即確認
- 転職者の給与明細チェック: 給与明細の雇用保険欄が合っているか、自分で逆算して検算したいとき
- 社労士・税理士が顧問先への説明資料を作成: 業種別・月額/年額で3パターン一気に試算
- 採用コスト見積もり: 被保険者負担+事業主負担の合計(労使合計)を確認し、月次の固定費にどれだけ乗るかを把握
加入対象か迷う場合(週20時間未満のパート・1か月未満の短期契約など)は、 「適用対象チェック」をONにして週所定労働時間と雇用見込み日数を入力すると、 原則の適用要件に照らして判定できます。ただし、65歳以上の「マルチジョブホルダー制度」や 昼間学生の例外など、個別判定には迷う論点があるため、最終判断は 社会保険労務士・ハローワークにご確認ください。
雇用保険料とは?
雇用保険料とは、雇用保険制度の運営費として、労働者と事業主が賃金総額に応じて納める保険料です。 失業給付(基本手当)・育児休業給付・教育訓練給付などの財源になるほか、 事業主側の料率には雇用保険二事業(雇用安定事業・能力開発事業)分が上乗せされています。 そのため、料率は労使で折半ではなく事業主負担のほうが高い構造になっています。
社会保険(健康保険・厚生年金)との違い
- 保険料は賃金総額に直接料率をかける(標準報酬月額を使わない)。 通勤手当も含めた総支給額がそのまま対象
- 月ごと・賞与ごとに料率を掛けて計算する(健保・厚年のような等級表がない)
- 加入要件が緩やか: 週20時間以上+31日以上の雇用見込みで加入(社保は原則30時間基準)
雇用保険料率の業種区分(令和8年度)
雇用保険料率は労災保険のような細かい業種分類ではなく、3業種に大きく分かれています。 令和8年度(2026年4月〜2027年3月)の料率は次のとおりです。
| 業種 | 被保険者負担 | 事業主負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 0.55% | 0.90% | 1.45% |
| 農林水産・清酒製造の事業 | 0.65% | 1.00% | 1.65% |
| 建設の事業 | 0.65% | 1.10% | 1.75% |
事業主負担が被保険者負担より高いのは、雇用保険二事業(雇用安定事業0.35% + 能力開発事業の一部)が 事業主側だけに上乗せされているため。建設業と農林水産業は、季節労働・短期雇用が多く失業給付の支給実績が高いため、 本体料率も一般業種より高めに設定されています。
「一般の事業」に含まれる業種
一般の事業は、建設業と農林水産・清酒製造業以外のすべての業種を指します。 代表的なものは以下のとおりです。
- 卸売・小売業(コンビニ・飲食店・量販店など)
- サービス業(美容・宿泊・コールセンターなど)
- 金融・保険業
- 情報通信・広告業
- 製造業(食品・機械・電子部品など。清酒製造のみ別区分)
- 医療・福祉
令和8年度の改正点(前年度との比較)
令和8年度の雇用保険料率は、令和7年度から料率据え置きで改定はありません。
ただし、雇用保険二事業料率や失業等給付分の内訳に微調整があるため、
毎年4月時点で厚生労働省が公表する最新告示(r08-koyouhokenryoritsu.pdfなど)を確認してください。
- 一般の事業: 合計1.45%(労0.55% + 事業主0.90%)— 令和7年度と同率
- 建設の事業: 合計1.75%(労0.65% + 事業主1.10%)— 同率
- 農林水産・清酒製造: 合計1.65%(労0.65% + 事業主1.00%)— 同率
なお、令和8年度には所得税の基礎控除・給与所得控除の大型改正が予定されていますが、 これは雇用保険料には影響しません(雇用保険は賃金総額ベースのため)。 ただし給与計算ソフト側で税額表と雇用保険料率の双方を更新する必要があるため、 人事労務担当者は両方の改正を同時に確認してください。
雇用保険の適用対象(31日・20時間ルール)
雇用保険は、以下の2つの要件を両方満たす労働者が原則加入対象になります。 パート・アルバイト・契約社員でも該当します(役員・個人事業主本人は対象外)。
- ① 31日以上の雇用見込みがあること
契約期間が31日以上、または契約更新の定めがある(更新しないと明示されていない)場合を含む - ② 1週間の所定労働時間が20時間以上
所定であり、実労働時間ではない点に注意。月により変動する場合は4週平均などで判定
判定に迷うケース
- 昼間学生: 原則として雇用保険の適用除外。ただし卒業後も継続雇用される場合や 休学中・通信制・定時制は加入対象になることがある
- 65歳以上で複数事業所勤務: 2022年施行の「マルチジョブホルダー制度」で、 2社合算で週20時間以上なら本人申出で加入可能
- 日雇い・短期の臨時労働: 31日未満でも反復更新が予定されていれば対象になりうる
- 代表取締役・個人事業主本人: 労働者ではないため適用外
適用対象かどうかの正確な判定は、ケースバイケースの判断が多くあります。 個別事情がある場合は、管轄のハローワーク(雇用保険適用事業所窓口)、 または社会保険労務士にご確認ください。本ツールの「適用対象チェック」モードは、 あくまで原則ルールに基づく1次スクリーニングとしてご利用ください。
計算結果が給与明細と合わない場合
本ツールで計算した被保険者負担額と、実際の給与明細の雇用保険料が合わない場合、 以下の要因が考えられます。
よくある差異の原因
- 端数処理の違い: 本ツールは「通貨の端数計算に関する法律」施行令第1条の原則 (50銭以下切捨て・50銭超切上)で計算しています。 しかし、労使間の特約により「1円未満切捨て」「1円未満切上」を採用している会社もあります。 この場合、月次で最大1円の差が出ます
- 通勤手当の扱い: 雇用保険は通勤手当も賃金に含めて計算しますが、給与計算ソフトの設定ミスで 通勤手当を除外して計算しているケースがあります
- 給与締め日をまたぐ賃金の範囲: 残業代・遅刻早退控除・賞与の月額反映タイミングなどで、 「その月の賃金総額」の定義が会社によって異なる場合がある
- 業種区分の違い: 同じ会社でも複数事業をもつ場合、主たる事業で適用される料率が変わる可能性がある
- 年度切替のタイミング: 料率改定は毎年4月1日から。3月分まで旧料率、4月分から新料率
本人が確認できること
- 給与明細に記載された「課税支給合計」または「総支給額」と、本ツールの入力値が同じか
- 勤務先が属する業種区分(就業規則・雇用契約書・会社HP)
- 差額が大きい場合(数百円以上)は、人事労務担当 → 社会保険労務士 → 労働局 雇用保険課の順に問い合わせ
1~2円程度の差異なら端数処理の違いの可能性が高く、業務的には問題ありません。 しかし、毎月数百円以上ズレる場合は、 社会保険労務士または勤務先の人事労務担当に照会することをおすすめします。 ツールの計算結果をエビデンスとして持参するとスムーズです。
端数処理の実務
雇用保険料の端数処理は「通貨の端数計算に関する法律」施行令第1条が原則ルールです。
- 被保険者負担分の端数: 50銭以下切捨て・50銭超切上(1円未満の端数処理)
- 事業主負担分の端数: 同上
- 労使で別々に計算: 合計額から折半するのではなく、それぞれの料率で個別計算してから端数処理
特約による別ルール
ただし、同法施行令は「ただし書き」で、事業主・労働者間の特約で別の端数処理を定めることを認めています。 実務では以下のような運用も見られます。
- 1円未満はすべて切り捨てる(労働者有利)
- 1円未満はすべて切り上げる(事業主管理簡素化)
- 一般的な四捨五入を採用する
就業規則・給与規程で端数処理方法が明記されている場合はそれに従います。 規定がない場合は法定の「50銭ルール」が適用されます。
関連ツール
- 法定福利費計算ツール: 健康保険・厚生年金・雇用保険・労災・子育て拠出金を合わせた 会社側の社会保険料負担の総額を計算
- 欠勤控除計算ツール: 欠勤日数から月給の控除額を計算
- 固定残業代計算ツール: 固定残業代の金額と、超過分の追加支払額を計算
- 有給休暇計算ツール: 有給付与日数と賃金額を計算
賞与計算ツール(Phase 2 #18)は現在準備中です。賞与にかかる雇用保険料は、 通常の月額賃金と同じ料率で計算します(健保・厚年と違い標準賞与額の上限はありません)。
計算の根拠・免責
根拠法令・告示
- 雇用保険法(第68条: 保険料の負担)
- 雇用保険法施行規則(加入要件・適用対象)
- 厚生労働省告示「令和8年度の雇用保険料率」(一般1.45% / 建設1.75% / 農林水産・清酒製造1.65%)
- 通貨の端数計算に関する法律・施行令第1条(50銭以下切捨て・50銭超切上)
- 労働保険徴収法(賃金の定義・納付方法)
免責
本ツールの計算結果は参考値です。正確な適用判定(学生・65歳以上・役員・複数事業所勤務など)、 端数処理の特約、給与計算ソフトでの設定の妥当性については、 社会保険労務士または管轄のハローワークにご確認ください。 特に、以下の場面では専門家への相談をおすすめします。
- 加入/非加入の判定に迷うケース(週20時間境界・短期契約の反復・二重雇用など)
- 過去の未加入期間がある場合の遡及加入・追納の必要性判断
- 外国人労働者の加入要件(在留資格ごとに違う)
- 雇用保険に関するトラブル(未加入・未納・脱退手続き等)
※ 計算結果は参考値です。正式な手続きには管轄のハローワーク・労働局、または社会保険労務士にご確認ください。
本ツールは令和8年度(2026年4月〜2027年3月)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。
このツールをより使いやすくするため、ご意見を募集しています。
「計算結果が合わなかった」「こんな項目が欲しい」など、どんな小さなことでもお寄せください。
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