退職所得計算ツール|令和8年分 退職所得控除・所得税・住民税まで対応

退職金の手取りを即算出。退職所得控除・1/2課税・短期退職手当等/特定役員退職手当等ルール・申告書未提出時の20.42%一律源泉徴収にも対応。令和8年分の所得税速算表で計算し、住民税10%の分離課税も内訳表示。

1年未満の端数は切り上げて計算します(例: 10年2ヶ月 → 11年)。入社から退職までの継続勤続年数を入力してください。

会社から支給される退職一時金の総額(源泉徴収される前の支給額)を入力してください。

役員等で勤続5年以下の場合は「特定役員退職手当等」として1/2課税が適用されません(所得税法30条)。

業務上・業務外を問わず、心身の障害が直接の原因で退職した場合、退職所得控除額に100万円が加算されます(所得税法施行令71条の2)。

通常は退職時に会社へ提出します。未提出の場合は一律20.42%で源泉徴収され、確定申告で精算が必要になります(所得税法203条)。

こんな場面で使えます

本ツールは所得税法第30条の退職所得ルールを忠実に実装し、令和8年分の所得税速算表・住民税10%の分離課税・ 復興特別所得税(所得税×2.1%)を同時に計算します。「退職所得の受給に関する申告書」の提出有無による税額差も確認できます。

退職所得の計算の仕組み

退職所得は、長年の勤続に対する報償という性格を踏まえて、他の所得と比べて大幅に優遇された計算方式が定められています。 仕組みは次の4ステップです。

ステップ1: 退職所得控除額を求める

勤続年数に応じて「まず引き算できる金額」が決まります。この金額を退職金から差し引いた残りだけが課税対象になります。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超 800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)

ステップ2: 課税退職所得金額を求める(1/2課税が基本)

退職金から控除額を引いた残りに1/2をかけたものが、原則としての課税退職所得金額です。 この「1/2」が退職所得が優遇されていると言われる最大の理由です。

計算式(原則): (退職金 − 退職所得控除額) × 1/2 = 課税退職所得金額(1,000円未満切捨て)

ただし、次の2つの例外では1/2が適用されない、または制限されます。

ステップ3: 所得税・復興特別所得税を計算する

課税退職所得金額に所得税法第89条の速算表(超過累進税率)を適用し、さらに復興特別所得税(所得税×2.1%)を上乗せします。

退職金は給与や事業所得と分離して課税されるため、他の所得と合算して累進税率が上がることはありません。これも退職所得優遇ルールの一つです。

ステップ4: 住民税(分離課税10%)を加える

住民税は課税退職所得金額に一律10%(道府県民税4% + 市町村民税6%)を乗じた額を、退職金支払時に勤務先が特別徴収します (地方税法第50条の2・第328条)。所得税同様、他の所得との合算はありません。

最終的な手取り額は 退職金総額 − 所得税 − 復興特別所得税 − 住民税 です。本ツールではこれらをすべて自動で計算します。

退職所得控除額の速算表(早見表)

代表的な勤続年数ごとの退職所得控除額です。勤続年数をそのまま本ツールに入力すれば、表と同じ結果が得られます。

勤続年数 退職所得控除額 計算式
1年(下限)80万円最低保障80万円
5年200万円40万 × 5
10年400万円40万 × 10
15年600万円40万 × 15
20年800万円40万 × 20
25年1,150万円800万 + 70万 × 5
30年1,500万円800万 + 70万 × 10
35年1,850万円800万 + 70万 × 15
40年2,200万円800万 + 70万 × 20

勤続20年を境に1年あたりの控除額が40万円→70万円に増えるため、長く勤めるほど1年の節税効果が大きい構造になっています。

1/2課税の例外 — 短期退職手当等と特定役員退職手当等

退職所得の原則は「(退職金−控除額)×1/2」ですが、勤続5年以下の退職金については、 税負担を調整するために1/2課税が制限・除外されます。

1. 特定役員退職手当等(役員等・勤続5年以下) — 1/2適用なし

取締役・監査役・執行役・国会議員・地方議員など「役員等」に該当する人が、役員としての勤続5年以下で受け取る退職金は 特定役員退職手当等として、1/2課税が一切適用されず、控除超え部分の全額が課税対象になります(所得税法第30条第4項)。

計算式: (退職金 − 控除額) = 課税退職所得金額(1/2なし・1,000円未満切捨て)

2. 短期退職手当等(一般・勤続5年以下) — 300万円超の部分は1/2なし

役員等でない一般の従業員で勤続5年以下の退職金のうち、控除超え部分が300万円を超えるケースでは、 超過分については1/2課税が適用されません(所得税法第30条第5項、令和4年分以降)。

控除超え部分 1/2課税
300万円以下の部分適用あり(1/2)
300万円超の部分適用なし(全額)

計算例: 勤続3年(控除120万円)で退職金600万円のケース

本ツールでは「役員等の区分」と「勤続年数」を入力すれば、これらの例外ルールが自動で適用されます。

「退職所得の受給に関する申告書」を必ず提出するべき理由

退職時に勤務先から渡される「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、 上で説明した退職所得控除・1/2課税・累進税率の優遇を適用した正しい税額で源泉徴収されます。

一方で、これを提出しないと、退職金総額に一律20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%)が 源泉徴収されます(所得税法第201条第3項・第213条第1項)。一律税率のため、退職所得控除も1/2課税も適用されず、 ほとんどのケースで本来の税額より大幅に多く徴収されることになります。

申告書 所得税・復興特別 住民税
提出あり(通常) 退職所得控除・1/2課税・速算表を適用した正しい税額 課税退職所得金額 × 10%を勤務先が特別徴収
提出なし 退職金総額 × 20.42%(一律) 市町村により別途特別徴収(本ツール表示は0円)

申告書は退職時に勤務先が用意する書式で、住所・氏名・勤続期間・他社からの退職金の有無などを記入するだけです。 出し忘れた場合でも、翌年に確定申告すれば過大徴収分を取り戻せますが、手続きの手間を考えると 退職時に必ず提出するほうがスムーズです。

早期退職制度・役員退職金の実務的な注意点

早期退職制度(割増退職金)の場合

役員退職金を支給する側(会社)の注意点

同じ年に複数の退職金を受け取る場合

子会社への出向後に本社・子会社両方から退職金を受け取るケースや、転職先で短期間勤務して再度退職するケースなど、 同一年に複数の退職金を受け取る場合は、合算した退職所得控除額の計算・勤続期間の重複調整など複雑になります。 「退職所得の受給に関する申告書」に前職分を記載することで調整できますが、 自信がない場合は税理士に確認することをおすすめします。

計算の根拠・免責

計算結果は参考値です。退職金の課税判定には、退職理由(通常退職/障害退職/死亡退職)、 役員の就任期間と使用人兼務の有無、他社からの退職金の有無、企業年金・確定拠出年金からの一時金など、 個別の事情で結果が変わる要素があります。 実際の退職金の手取り額・税務判断は、退職前に税理士など専門家にご確認ください。 本ツールの「関連サービスのご案内」欄からも税理士への無料相談(税理士ドットコム)が可能です。

本ツールは令和8年分(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。