決算利息計算ツール 令和7年版|未収収益・未払費用の期間按分を自動計算
貸付金・借入金の決算整理で必要な未収利息・未払利息を自動計算。発生主義(企業会計原則)に基づき元本×利率×日数÷365で期間按分。法人税基本通達2-2-1対応。
決算利息の期間按分とは?発生主義と未収収益・未払費用の基本
発生主義の原則(企業会計原則 第二・一・A)
企業会計原則は「すべての費用及び収益は、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない」と定めています(発生主義の原則)。 貸付金・借入金の利息は、現金が動く「利払日」ではなく、利息が経済的に発生した期間に計上する必要があります。 これが決算整理仕訳が必要になる根拠です。
期末仕訳の必要性(決算期をまたぐ利息)
たとえば10月1日に1年間の貸付を行い、3月末決算の法人であれば、 翌年9月30日の利払日まで利息は受け取れません。しかし3月31日(決算日)時点で 10月〜3月分(184日分)の利息はすでに発生しています。 この金額を未収収益として期末に計上しないと、当期の損益が正確に表示されません。 借入側は逆に未払費用として費用計上します。
計算式
利息額 = 元本 × 利率(年率)÷ 100 × 経過日数 ÷ 365日(または360日)
経過日数は「開始日・終了日の両端を含む」で算定するのが一般的です(inclusiveカウント)。 円未満の端数は切り捨て処理します。
【計算例】元本1,000,000円・年利3%・経過92日(10/1〜12/31)・365日基準
1,000,000 × 0.03 × 92 ÷ 365 = 7,561円
365日基準と360日基準の実務判断
- 365日基準(一般事業会社の標準): 契約書に特段の定めがない場合はこちらを採用。閏年でも365日として計算するのが実務慣行です。
- 360日基準(銀行間慣行・Actual/360): 金融機関との借入契約や国際的な資金取引で指定されることがあります。契約書の記載を必ず確認してください。
どちらを採用するかは契約書の定めに従います。 一度採用した基準は継続適用するのが原則で、正当な理由なく期ごとに切り替えることはできません(法人税基本通達2-2-12)。
法人税法上の取扱い(公正処理基準と通達2-2-1)
法人税法22条4項は「公正処理基準(一般に公正妥当と認められる会計処理の基準)」に従って計算した所得金額を課税所得とすると定めています。 発生主義による利息の期間按分はこの公正処理基準の一部であり、 法人税基本通達2-2-1が「期間対応による費用の帰属」の根拠として機能します。
注意: 一部の民間解説サイトで「タックスアンサーNo.5760が期間按分の根拠」とする記述が見られますが、これは誤りです。No.5760は「所得税額控除」に関する条文で、決算利息の期間按分とは無関係です。 正しい根拠は法人税基本通達2-2-1(および企業会計原則の発生主義)です。
仕訳例:貸付側(未収収益)
- 期末:
(借)未収収益 7,561/(貸)受取利息 7,561 - 翌期首(再振替):
(借)受取利息 7,561/(貸)未収収益 7,561
仕訳例:借入側(未払費用)
- 期末:
(借)支払利息 7,561/(貸)未払費用 7,561 - 翌期首(再振替):
(借)未払費用 7,561/(貸)支払利息 7,561
法令根拠
- 企業会計原則 第二・一・A(発生主義の原則)
- 法人税法22条4項(公正処理基準)
- 法人税基本通達2-2-1(期間対応)
- 法人税基本通達2-2-12(日数基準の継続適用)
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 360日基準を使うのはどんな場合ですか?
360日基準(Actual/360)は主に金融機関との借入契約や国際的な資金取引で用いられます。 金融機関の貸付では契約書に「1年を360日として計算する」と明記されているケースがあり、その場合は360日で計算しなければ契約上の利息額と一致しません。 一般的な事業法人間の貸付(役員貸付・子会社貸付等)では、特に記載がなければ365日基準を採用するのが通常です。 どちらを使うべきか迷う場合は、まず契約書の文言を確認してください。
Q2. 貸付金と借入金で計算方法は変わりますか?
計算式(元本×利率×日数÷基準日数)は同じです。異なるのは使用する勘定科目です。 貸付金側は「受取利息」を当期収益として計上し、対応する資産科目「未収収益」を計上します。 借入金側は「支払利息」を当期費用として計上し、対応する負債科目「未払費用」を計上します。 このツールでは「計上区分」の選択により、どちらの仕訳も自動出力します。
Q3. 翌期首の再振替仕訳(洗替処理)は必ず必要ですか?
理論的には必須ではありませんが、実務上は行うのが一般的です。 再振替仕訳を行わない場合、翌期の利払日に受け取る利息の全額を受取利息に計上すると、前期に既計上した期間分が二重計上になります。 別途管理台帳で調整することも不可能ではありませんが、ミスのリスクが高くなります。 会計ソフトでは期首自動再振替機能を持つものもあるため、設定を確認しておくと便利です。
Q4. 税務上、未収収益の計上漏れはどんな問題になりますか?
未収収益(受取利息の期間計上)を漏らすと、当期の益金が過少申告になります。 税務調査で指摘された場合、申告漏れとして本税に加えて過少申告加算税(原則10%)と延滞税が課されます。 特にグループ法人間の貸付や役員貸付は税務調査で注目されやすい項目です。 貸付利率が「時価(適正利率)」を下回っていると、さらに寄附金や給与として認定されるリスクもあるため注意が必要です。
Q5. 個人事業主にも決算利息の計上は必要ですか?
個人事業主の確定申告でも、事業に関する貸付金・借入金があれば発生主義による利息の期間計上が必要です。 ただし、個人の場合は所得税法で「現金主義の特例」(前々年の事業所得が300万円以下の白色申告者限定)が認められており、現金主義を選択している場合は利払日ベースで計上できます。 青色申告(複式簿記)を行う事業者は発生主義が原則です。 事業用と家事用の資金が混在する場合は家事按分計算ツールも参考にしてください。
関連計算ツール
免責事項
本ツールの計算結果は一般的な期間按分計算(発生主義・365日または360日基準)に基づくもので、 契約内容(前払利息・後払利息の区分、複利計算、端数処理の特約等)によっては 実際の仕訳金額と異なる場合があります。 税務上の取扱いは会社の状況・契約内容により異なりますので、 重要な決算処理は必ず顧問税理士または税務専門家にご確認ください。 本ツールの利用により生じた損害について、当サイトは一切の責任を負いません。
本ツールは令和8年度(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。
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