平均取得単価計算ツール|株式・投信の移動平均法/総平均法対応

一般口座・複数証券での平均取得単価の算定に。取引履歴を入力するだけで移動平均法(株式法定・所令119の2)/総平均法を切替計算。投信の特別分配金(元本払戻金・措法9の3の2)対応・計算過程テーブル表示。算出した取得単価は株利益計算ツールへ連携可。令和8年(2026年)・無料。

株式・投信・FX・金などの取引履歴から、 移動平均法(株式は法定・所令119の2)または 総平均法(所法48)で平均取得単価を自動計算します。 投信の特別分配金(元本払戻金・措法9条の3の2)にも対応。 算出した取得単価はそのまま株利益計算(譲渡所得)に渡せます。

ステップ1: 計算方式を選ぶ

株式は「移動平均法」が法定(届出不要・所令119の2)。 投資信託は届出により総平均法も選択できます。

ステップ2: 取引履歴を入力(複数行追加可・最大30行)

1取引1行で入力。種別「特別分配金」を選ぶと、 その口数×1口あたり払戻金で取得価額を減額します(投信・措法9条の3の2)。

特定口座(源泉あり/なし)は証券会社が自動で取得単価を管理します。 本ツールは一般口座取引所をまたぐ自己管理ケース向けの参考計算です。
日付種別数量・口数単価(円)

このツールの役割と使いどころ

本ツールは「平均取得単価の算定」に特化した前段ツールです。 譲渡所得(売却益)の税額計算は別ツールで行います。

ツール 役割 出力・使い道
本ツール(平均取得単価計算) 取得単価の算定(前段) 取引履歴 → 平均取得単価・累計保有数量・累計取得金額
株利益計算(譲渡所得) 譲渡所得税の試算 取得費+譲渡価額 → 所得税15.315%+住民税5%+復興税
ビットコイン損益計算(暗号資産) 暗号資産専用の損益集計 暗号資産は雑所得・5%ルール・損益通算不可など特有ルール対応

確定申告の準備は「本ツールで取得単価を確定 → 株利益計算で譲渡所得税を算出」 という流れで進めると効率的です。

計算の仕組み — 移動平均法と総平均法の違い

個人の株式・投信の取得価額算定には2つの方式があります(所法48・所令119の2)。

移動平均法(株式の法定方式)

取得のたびに(保有簿価総額 + 新規取得価額)÷ 新しい数量で 加重平均単価を更新します。株式は届出不要・法定(所令119の2)。 売却時は平均単価を維持し、数量だけ減算します。再買付があると、その時点で再度平均が計算されます。

総平均法(要届出)

期間内(通常は1年間)の総買付金額 ÷ 総買付数量で1単位あたりの取得原価を計算します。 期間内のいつ買っても・いつ売っても、最終的に同一の単価で評価されるため、移動平均法より計算が単純です。 採用には所轄税務署への届出が必要(所令119の2第3項)。

投信の特別分配金(措法9条の3の2)

投資信託の分配金には普通分配金(課税対象)と 特別分配金(元本払戻金)(非課税)があります。 特別分配金は元本の払戻しなので、その分だけ取得価額を減額する必要があります。 本ツールで取引種別「特別分配金」を選択すれば、口数 × 1口あたり払戻金額が自動で取得価額から控除されます。

令和8年分(2026年分)の取扱い

2026年分の株式・投信の取得価額算定ルールは、移動平均法・総平均法ともに従来どおりです。 令和8年度税制改正大綱(2025年12月公表)にも、株式の取得価額評価方法に関する変更は記載されていません。

典型的な使い方 — 4つのシナリオ

シナリオ1: 一般口座で株式を取引

一般口座は特定口座と異なり、証券会社が取得単価を管理しません。 ご自身で年間取引報告書から取引履歴を読み取り、本ツールで平均取得単価を算出してください。 算出した単価は株利益計算に渡して譲渡所得税を試算できます。

シナリオ2: 複数の証券会社で同一銘柄を保有

A証券で50株、B証券で50株のように同一銘柄を分散して保有している場合、 譲渡所得計算時には同一銘柄の合算した平均取得単価が必要になります。 両方の取引履歴をまとめて本ツールに入力すれば、横断的な平均取得単価が計算できます。

シナリオ3: 投信で特別分配金を受け取った

毎月分配型ファンド等で特別分配金(元本払戻金)を受け取った場合、 その都度取得価額を減額する必要があります。 取引種別「特別分配金」を選択し、対象口数と1口あたり払戻金額を入力してください。 普通分配金(運用益からの分配)は課税対象ですが、取得価額には影響しません。

シナリオ4: 移動平均法と総平均法の比較

移動平均法と総平均法でどちらが有利になるかをシミュレーションしたい場合、 ラジオボタンで切り替えるだけで両方の結果を比較できます。 実際の確定申告で使う方式は、過去の届出と整合させる必要があるため、 本ツールはあくまで比較・確認用としてご利用ください。

民間解説でよく見る誤情報 — 4つの代表例

平均取得単価の計算については、税理士ブログやSNSで一次ソースと食い違う情報があります。 本ツールは国税庁公式資料(タックスアンサーNo.1464・No.1466)および所得税法施行令119条の2に準拠しています。

  1. 「総平均法が原則」は誤り(株式の場合)
    個人の株式取引は移動平均法が法定(所令119の2)です。 総平均法に変更するには届出が必要です。暗号資産は逆に総平均法が法定ですが、株式とは混同しないでください。
  2. 「特別分配金は無視してよい」は誤り
    特別分配金(元本払戻金)は非課税ですが、その分だけ取得価額を減額しないと 譲渡所得計算時に取得費を過大計上することになります(措法9条の3の2)。
  3. 「売却すると平均単価がリセットされる」は誤り
    売却時は平均単価を維持し、数量だけ減算します。 売却単価はその時点の譲渡損益に影響するだけで、残存分の平均単価には影響しません。
  4. 「特定口座でも自分で平均単価を計算する必要がある」は過大解釈
    特定口座(源泉あり/源泉なし)では証券会社が取得単価を自動管理します。 本ツールが必要になるのは主に一般口座、または複数取引所横断の自己管理ケースです。

スコープ外 — 本ツールでは扱わない論点

本ツールは「個人が課税口座で行った株式・投信・FX・金 等の取引の平均取得単価算定」に特化しています。 以下は税理士への個別相談を推奨します。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 株式の平均取得単価は、移動平均法と総平均法どちらで計算するのが正しいですか?

株式は所得税法施行令119条の2により、個人の場合は「移動平均法」が法定(届出不要)です。総平均法を使う場合は所轄税務署への届出が必要です。なお、特定口座(源泉あり/源泉なし)を使っている場合は証券会社が自動で取得単価を管理するため、本ツールは主に「一般口座」「複数の取引所をまたいで自己管理が必要なケース」で使うことを想定しています。投資信託は届出によりどちらの方式も選択できます。

Q2. 投信の特別分配金(元本払戻金)はどう扱えばいいですか?

特別分配金(元本払戻金)は非課税ですが、その分だけ取得価額を減額する必要があります(措置法9条の3の2)。本ツールでは取引種別「特別分配金」を選択し、口数と1口あたり払戻金額を入力すれば、自動的に取得価額が減額されて新しい平均取得単価が計算されます。普通分配金(運用益からの分配)は課税対象なので、取得価額の減額は不要です。証券会社の取引報告書で「特別分配金」と「普通分配金」の区分を確認してください。

Q3. 投信の信託報酬は取得価額に含めますか?

信託報酬は取得価額に含めません。信託報酬は運用コストとして基準価額に日々反映されますが、税務上は取得費ではなく必要経費扱いです(所得税基本通達48-1)。そのため、本ツールの単価欄に信託報酬を上乗せして入力する必要はありません。一方、株式・ETFの買付手数料は取得費に算入できます(タックスアンサーNo.1464)。手数料を含めたい場合は、単価に手数料相当を加算した実質単価で入力してください。

Q4. 売却したあとの平均取得単価はどうなりますか?

移動平均法でも総平均法でも、売却時の平均取得単価は維持されます。売却によって減るのは「保有数量」だけで、1単位あたりの取得原価は変わりません。たとえば100株@1500円を保有しているときに50株を売却すると、残りの50株の平均取得単価は1500円のまま、保有数量だけ50株に減ります。売却単価がいくらであっても、その後の保有分の平均単価には影響しません。

Q5. 1円未満の端数はどう処理されますか(切上げ・切捨て)?

所得税法施行令119条の2の運用に従い、本ツールでは1円未満を切上(Math.ceil)で処理しています。たとえば(123,400 + 100,000) ÷ 150 = 1,489.33...は、切上で1,490円となります。切捨てではなく切上なのがポイントです。証券会社の年間取引報告書と1〜2円ずれることがあるのは、この端数処理の差異が原因の場合があります。

Q6. 取得費不明のとき「概算取得費5%」は使えますか?

古い株式など取得価額が不明な場合、譲渡価額の5%を取得費とする概算取得費の特例(措法31条の4)を使えます(タックスアンサーNo.1464)。本ツールで取得単価を正確に追えない場合は、株利益計算ツール(/investment/kabu-rieki/)側で「概算5%」ボタンから適用できます。なお概算5%は「実際の取得費が不明のときだけ使える」と思われがちですが、実額が5%未満であれば実額を捨てて概算5%を任意選択することも可能です(措法31条の4 任意適用)。

Q7. 売却数量が保有数量を超えたらどうなりますか?

本ツールは「保有数量を超える売却」を検出すると警告を表示し、その時点の保有数量を0として計算を継続します。実務上は入力ミス(数量を間違って入れた・行の順序が逆)の可能性が高いので、警告が出たら取引履歴と日付順をご確認ください。一般口座での実取引で本当に保有数量を超える売却が発生することは、信用取引等の特殊なケースを除き通常はありません。

Q8. 取引手数料はどこに入れればいいですか?

本ツールv1では取引手数料の自動加算には対応していません。買付時の手数料を取得価額に含めたい場合は、単価に手数料相当を加算した「実質単価」を入力してください(例: 100株@1500円・手数料500円なら、単価1505円で入力)。売却時の手数料は譲渡費用として別途処理する必要があるため、本ツールの単価欄ではなく、譲渡所得計算ツール(株利益計算)側で控除してください。手数料の正確な配分は証券会社の取引報告書に従うのが確実です。

Q9. 複数銘柄をまとめて入力できますか?

本ツールは1銘柄単位の計算です(v1)。複数銘柄を保有している場合は、銘柄ごとに別々に計算してください。理由は、平均取得単価は「同一銘柄の同一証券コード」ごとに算出するのが原則だからです(所得税法施行令119条の2)。たとえばトヨタ株とソニー株を持っている場合、それぞれの取引履歴を別々に入力して個別に平均取得単価を算出します。複数銘柄を一括管理したい場合は証券会社の取引履歴ツールやマネーフォワード等の家計簿ソフトの利用を推奨します。

Q10. 計算結果を譲渡所得(売却益)の計算に使えますか?

はい、使えます。本ツールで算出した平均取得単価を「取得費」として、株利益計算ツール(/investment/kabu-rieki/)に入力すれば、譲渡所得・所得税15.315%・住民税5%の納税額まで一気通貫で試算できます。一般口座・特定口座源泉なしで確定申告が必要な方は、本ツールで取得単価を確定 → 株利益計算で譲渡所得税を算出、という流れで進めてください。なお、暗号資産は雑所得(総合課税)で扱いが異なるため、ビットコイン損益計算(/crypto/bitcoin-rieki/)を使用してください。

Q11. 暗号資産の平均取得単価計算と何が違うのですか?

大きく2点が異なります。①評価方法の法定方式が逆:株式は移動平均法が法定(所令119の2・届出不要)、暗号資産は総平均法が法定(所法48・届出で移動平均法に変更可)。②課税区分が異なる:株式等の譲渡所得は申告分離課税(税率20.315%・損益通算可・3年繰越可)、暗号資産は雑所得(総合課税・累進税率・他の雑所得との通算のみ可)。暗号資産の計算はビットコイン損益計算ツール(/crypto/bitcoin-rieki/)をご使用ください。本ツールでも暗号資産の入力は可能ですが、税務申告時は暗号資産専用ツールを推奨します。

Q12. 計算方式(移動平均/総平均)は途中で変更できますか?

所得税法施行令119条の2により、株式の取得価額の評価方法を変更するには税務署への承認申請が必要で、原則として採用後3年が経過していなければ変更が認められません。本ツール上では計算方式をラジオで切り替えれば即座に再計算されますが、これは「両方式の結果を比較するシミュレーション」目的です。実際の確定申告で使う方式は、過去の届出と整合させてください。届出を行っていない場合は、株式は移動平均法(法定)が適用されます。

Q13. 相続や贈与で取得した株式の取得単価はどうなりますか?

相続・贈与で取得した株式の取得費は、被相続人・贈与者が購入したときの取得費をそのまま引き継ぎます(所法60条)。つまり、相続した時点の市場価格ではなく、故人や贈与者が実際に支払った金額が取得費になります。前所有者の取得費が不明な場合は、概算5%ルール(措法31条の4)が適用できます。本ツールへの入力は「前所有者の取得価額・取得日」を使ってください。長短区分(5年)の起算点も前所有者の取得日になる点に注意してください。

Q14. NISA口座やiDeCoの取引も計算する必要がありますか?

いいえ、不要です。NISA口座(つみたて投資枠・成長投資枠)とiDeCo(個人型確定拠出年金)は非課税口座のため、取得単価管理も譲渡所得計算も不要です。本ツールは課税口座(特定口座・一般口座)の取引が対象です。NISA枠で保有している銘柄は、本ツールへの入力対象外として扱ってください。NISA枠を超えて課税口座で買い増した分のみ、平均取得単価の計算が必要になります。

計算の根拠・免責事項

根拠法令・通達・FAQ

免責事項

本ツールの計算結果は概算値であり、正式な取得価額・税額ではありません。 v1では1銘柄単位の計算のため、複数銘柄を保有している場合は銘柄ごとに計算してください。 取引手数料の配分・株式分割・新株予約権等の個別論点は本ツールのスコープ外です。 1円未満は切上処理のため、証券会社の取引報告書と1〜2円程度の差異が出る場合があります。 税制改正により将来的に計算方法が変わる可能性があります。

正式な確定申告は、e-Tax・税務署窓口・税理士へご依頼ください。 複雑な取引(信用取引・外国株式・複数口座横断・大額取引等)が含まれる場合は、 税理士への個別相談を強く推奨します。

本ツールは令和8年分(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。