マンション減価償却 計算ツール 令和7年版|RC47年・中古簡便法・不動産投資節税
マンション・アパートの減価償却費を即計算。RC/SRC47年・鉄骨34年・木造22年の法定耐用年数と中古簡便法(一部経過・全部経過)に対応。不動産投資の損益通算・節税シミュレーションに。
マンション減価償却とは? — 不動産投資の節税を支える仕組み
建物は時間の経過により価値が減少するため、取得価額を耐用年数にわたって 経費化する「減価償却」が必要です。不動産賃貸業や賃貸併用住宅では、 毎年の減価償却費を不動産所得の必要経費として計上することで、 所得税・住民税の節税につながります。
特にサラリーマン大家・不動産投資家にとっては、損益通算の観点で重要です。 不動産所得が赤字になった場合(減価償却費を計上した結果など)、 給与所得と合算して課税所得を圧縮できます(総合課税の範囲内)。 減価償却費は実際の支出を伴わない「帳簿上の経費」のため、 キャッシュフローは黒字でも税務上は赤字という状況を作りやすく、 節税効果の大きい不動産投資の基本知識です。
土地は減価償却の対象外のため、本ツールでは 「建物部分のみの取得価額」を入力します。売買契約書に建物価格が 記載されていない場合は、消費税額÷10%で逆算できます (土地には消費税がかからないため)。
定額法のみ適用(所得税法施行令120条の2)— 2007年4月以降取得の建物
2007年(平成19年)4月1日以降に取得した建物は定額法のみ適用されます。 かつては定率法(取得直後に大きく償却し、後年は少なくなる方法)も選択できましたが、 平成19年度税制改正により廃止されました。定額法は毎年同額を経費化するシンプルな計算方法です。
- 年間減価償却費 = 建物取得価額 × 定額法償却率
- 月額減価償却費 = 年間減価償却費 ÷ 12(年の途中で取得した場合は月割り)
2007年3月以前に取得した建物は旧定額法・旧定率法の対象で、 残存価額10%(取得価額の10%)を控除するなど計算方法が異なります。本ツールは対象外です。
主要構造の法定耐用年数と定額法償却率(耐用年数省令 別表第一・別表第八)
住宅用建物の法定耐用年数は構造によって次のように定められています。 耐用年数が長いほど毎年の償却額は小さくなります。
| 構造 | 法定耐用年数 | 定額法償却率 | 例: 3,000万円建物の年間償却費 |
|---|---|---|---|
| RC造・SRC造(鉄筋コンクリート・鉄骨鉄筋コンクリート) | 47年 | 0.022 | 66万円 |
| 鉄骨造(骨格材の肉厚4mm超) | 34年 | 0.030 | 90万円 |
| 木造・合成樹脂造 | 22年 | 0.046 | 138万円 |
鉄骨造は骨格材の肉厚により耐用年数が分かれます(4mm超=34年・3mm超4mm以下=27年・3mm以下=19年)。 本ツールでは住宅用マンション・アパートで最も多い「4mm超」を対象としています。 登記簿謄本の構造欄または建築確認済証で確認してください。
中古資産の簡便法(耐用年数省令3条1項2号)
中古で建物を取得した場合、法定耐用年数ではなく簡便法により 耐用年数を短縮できます。耐用年数が短くなるほど年間償却費が増え、 節税効果も大きくなります。中古物件の「節税力」を左右する最重要ルールです。
- 一部経過(経過年数 < 法定耐用年数): 耐用年数 =(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%
- 全部経過(経過年数 ≧ 法定耐用年数): 耐用年数 = 法定耐用年数 × 20%
- 端数は切捨て、2年未満は2年に丸めます
計算例を3件示します。
- 築10年の中古RC(SRC)マンション: (47 − 10) + 10 × 0.2 = 37 + 2 = 39年。償却率0.026、取得価額3,000万円なら年間78万円
- 築25年の中古鉄骨アパート: (34 − 25) + 25 × 0.2 = 9 + 5 = 14年。償却率0.072、年間216万円(大きな節税効果)
- 築30年の中古木造住宅(法定22年を超過): 22 × 0.2 = 4.4 → 切捨てで4年。償却率0.250、年間750万円という超短期償却
資本的支出50%超の場合は簡便法不可(耐令3条ただし書・耐通1-5-6)
中古取得後の大規模修繕・リフォーム費用(資本的支出)が取得価額の50%を超える場合、 簡便法は適用できず、法定耐用年数で償却する必要があります(耐通1-5-6)。 フルリノベ済み物件の取得時や、取得後に大規模修繕を行う場合は要注意です。
- 資本的支出 = 建物の価値を高める・耐用年数を延ばす支出(躯体補強・増築等)
- 原状回復・通常の維持管理は修繕費で経費計上(資本的支出には該当せず)
- 50%の判定は中古取得価額ベース。ちょうど50%は簡便法可(「超」が条件)
取得価額2,000万円の中古RCマンションにフルリノベ費用1,100万円(55%)かけた場合、 簡便法は使えず法定耐用年数47年で計算します。リノベ費用が節税効果を打ち消すケースなので、 購入前に本ツールで試算しておくことを推奨します。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 土地部分は減価償却できないのですか?
その通りです。土地は時間が経っても価値が減少しないとみなされるため、 減価償却の対象外です(所得税法施行令120条の2は「建物」に限定)。 マンション・アパートを購入した場合、売買契約書に「建物価格〇〇円・土地価格〇〇円」と 内訳が記載されているか確認してください。 一括表示の場合は、①消費税額÷10%(建物にのみ消費税がかかる性質を利用)、 または②固定資産税評価額の建物比率で按分する方法で建物価格を算出します。 建物価格を大きく設定するほど減価償却費は増えますが、 売買当事者間で恣意的な按分を行うことは否認リスクがあります。
Q2. 区分所有マンション(分譲)を賃貸に出す場合の特殊性は?
区分所有マンションでも計算の基本は同じですが、注意点が2つあります。 ①建物共用部分の取得価額への算入: 分譲マンションは専有部分だけでなく、 エントランス・廊下・エレベーターなどの共用部分も持分で取得しています。 売買契約書に記載の「建物価格」にはこれらが含まれているため、そのまま入力できます。 ②修繕積立金の資本的支出判定: 管理組合が大規模修繕を行った場合、 区分所有者が負担した修繕積立金の一部が資本的支出と判定されることがあります。 年間の管理費・修繕積立金の内訳は帳簿で管理し、申告時に確認してください。
Q3. 相続や贈与で取得したマンションの耐用年数はどう計算しますか?
相続・贈与・遺贈により取得した建物の場合、被相続人(前の所有者)が取得した時点を基準に 耐用年数を計算します(所得税基本通達49-1)。 たとえば父が平成10年(1998年)に新築で取得したRCマンションを令和7年(2025年)に相続した場合、 経過年数は約27年となり、簡便法を適用すると(47 − 27) + 27 × 0.2 ≒ 25年となります。 ただし父が平成10年取得のため旧定額法・旧定率法の適用対象であり、 父の申告を引き継ぐ形になります。本ツールは2007年4月以降取得を対象としているため、 旧法対象物件の相続は税理士へご相談ください。
Q4. 青色申告特別控除との関係を教えてください
不動産所得でも青色申告は選択でき、65万円控除(電子申告・複式簿記が条件)または 10万円控除(簡易簿記)を適用できます。 減価償却費を計上した不動産所得の赤字に加えて、さらに青色申告特別控除を差し引くことはできません (不動産所得の青色申告特別控除は、不動産所得が控除額を上回る場合のみ機能します)。 ただし給与所得との損益通算後の総合課税において、節税の積み上げ効果が期待できます。 不動産5棟10室以上の事業的規模でなければ65万円控除が受けられないケースもあるため、 規模・記帳方法の要件は事前に税理士と確認することを推奨します。
Q5. 不動産を売却したとき、減価償却は取得費の計算にどう影響しますか?
不動産の売却益(譲渡所得)は「売却価格 − 取得費 − 譲渡費用」で計算します。 この取得費は「当初の取得価額 − 減価償却累計額」となるため、 毎年減価償却費を計上していた分だけ取得費が目減りし、売却時の譲渡所得が増えます。 たとえば取得価額3,000万円の建物を20年間保有し年間66万円(RC・新築)を計上してきた場合、 取得費は3,000万円 − 1,320万円 = 1,680万円になります。 節税で恩恵を受けた分が売却時に課税される仕組みのため、 短期転売・長期保有どちらが有利かは物件ごとのシミュレーションが必要です。 譲渡所得の税率(短期=39.63%・長期=20.315%)との組み合わせで判断してください。
Q6. 複雑なケースは税理士への相談が必要ですか?
以下のケースでは、税理士への相談で節税余地の発見や申告ミスの回避につながります。 複数棟所有・法人化の検討・海外不動産(令和2年度改正により簡便法が大幅制限)・ 大規模修繕費の資本的支出vs修繕費の判定・青色申告65万円控除の要件確認などは 専門家判断が必要な領域です。
税理士ドットコム(不動産投資・賃貸経営の税務相談) では不動産専門の税理士を検索・相談できます。
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計算の根拠・免責
本ツールは所得税法施行令120条の2、法人税法施行令48条の2、 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(別表第一・別表第八・3条)に基づき 定額法および中古簡便法で計算します。 2007年3月以前取得の旧定額法・旧定率法、海外中古不動産の個別制限 (令和2年度改正)、特別償却・中小企業特例等は本ツールの対象外です。 計算結果は参考値です。正確な税額・経費計上方法は税理士または税務署にご確認ください。
本ツールは令和8年度(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。
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