あなたの結果:原則、確定申告が必要です
特定口座(源泉あり)と違い、一般口座は証券会社が損益計算書を作りません。取得価額・売却価額・譲渡費用を自分で集計して申告書に記載する必要があります。利益が出ているなら、原則として確定申告(と納税)が必要です。
ただし、給与所得者で年間の利益が20万円以下なら申告不要になる例外もあります。まずは集計の手順から見ていきましょう。
特定口座(源泉なし)も同じ「申告必須」グループ
ツールで特定口座(源泉なし)を選んだ方も、確定申告が必要な点は一般口座と同じです。違いは、源泉なし口座は証券会社が年間取引報告書で損益を計算してくれるため、取得費を自分で集計しなくてよい分だけ申告がラクなことです。ただし税金は源泉徴収されないので、利益が出たら申告と納付は自分で行います。本記事の集計・申告の流れはそのまま参考になります(取得費集計の手間が省ける点だけ読み替えてください)。
①損益を自分で集計する
譲渡所得は次の式で計算します。利益(譲渡所得)に20.315%をかけた金額が税額です(措法37条の11)。
一般口座の譲渡所得・税額の計算
譲渡所得 = 売却価額 −(取得費 + 譲渡費用)
税額 = 譲渡所得 × 20.315%(所得税15% + 復興0.315% + 住民税5%)
取得費 = 買ったときの価格 + 購入手数料。譲渡費用 = 売却手数料 等
集計に必要な書類
- 購入時の取引報告書・約定通知(取得価額・購入手数料の確認)
- 売却時の取引報告書(売却価額・売却手数料の確認)
- 名義書換・移管の記録(複数回購入なら平均取得単価の計算に必要)
複数回に分けて買った株は平均取得単価で
同じ銘柄を複数回に分けて買っている場合は、移動平均法で平均取得単価を求めてから取得費を計算します。平均取得単価計算ツールを使うと、取引履歴を入力するだけで取得単価が出せます。
②取得費がわからないとき(概算5%)
古い株や相続した株などで取得費がわからない場合、売却価額の5%を取得費とみなす「概算取得費の特例」が使えます(措法31条の4)。実際の取得費が売却価額の5%未満のときも、有利な5%を任意に選べます。
概算取得費(売却価額の5%)
概算取得費 = 売却価額 × 5%
例: 売却価額200万円 → 概算取得費10万円 → 譲渡所得190万円
実際の取得費が分かり、かつ5%より大きいなら実額を使う方が有利
| 取得費の状況 | 使える方法 |
|---|---|
| 取得費がわかる(実額 > 売却価額の5%) | 実額を使う(税額が少なくて有利) |
| 取得費が不明 | 概算取得費5%を使う |
| 取得費はわかるが売却価額の5%未満 | 概算5%を選んでもよい(任意適用) |
| 相続・贈与で取得した株 | 被相続人・贈与者の取得費を引き継ぐ(所法60条)。不明なら5%可 |
申告不要になる例外(20万円以下)
給与を1か所から受けている会社員で、給与・退職所得以外の所得の合計が年間20万円以下なら、所得税の確定申告は不要になります(所得税法121条)。一般口座の譲渡益もこの所得に含めて判定します。
住民税は20万円以下でも申告が必要
所得税の20万円以下特例は所得税だけのルールです。住民税にはこの特例がないため、利益が20万円以下でも住民税の申告は別途必要です(地方税法)。確定申告をしない場合は、お住まいの市区町村に住民税の申告を行ってください。
損失がある・繰越したいなら申告した方が得
利益が20万円以下で申告不要でも、損失が出ている年はあえて申告すれば損益通算や3年繰越に使えます。損失の活用手順は 損益通算・3年繰越で取り戻すケースの記事 を参照してください。
よくある誤解の処理
一般口座の典型誤解4点と正しい情報
- 【誤】「証券会社が損益計算書を出してくれる」→ 【正】一般口座は損益計算書が作られません。取得費・売却価額・譲渡費用を自分で集計して申告します。
- 【誤】「特定口座なら源泉なしでも申告不要」→ 【正】源泉なしは申告が必要です。証券会社が損益は計算してくれますが税金は天引きされないため、利益が出たら自分で申告・納付します(一般口座と同じ申告必須グループ)。
- 【誤】「利益が20万円以下なら何もしなくていい」→ 【正】所得税は申告不要でも、住民税の申告は別途必要です(住民税に20万円特例はありません)。
- 【誤】「取得費が分からないから申告できない」→ 【正】概算取得費5%の特例(売却価額×5%)が使えます。取得費不明でも申告は可能です(措法31条の4)。
原典: 国税庁タックスアンサー No.1464(取得費・概算取得費)・No.1463(譲渡所得)。
次にやること
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損益を集計する:購入・売却の取引報告書から取得費・譲渡費用をまとめます。取得費不明なら概算5%を使います。
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申告要否を判定する:給与所得者で他の所得と合わせ20万円以下なら所得税は申告不要。ただし住民税の申告は必要です。
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取得費不明・相続株で迷ったら専門家へ:相続で引き継いだ株の取得費や取得時期の判定は複雑です。
出典・参考法令
- 国税庁 タックスアンサー No.1463(譲渡所得)・No.1464(取得費・概算取得費5%)・No.1465(損益通算・繰越控除)
- 租税特別措置法 第37条の11(上場株式等の譲渡所得・20.315%)・第31条の4(概算取得費5%)
- 所得税法 第60条(相続・贈与による取得費の引継)・第121条(給与所得者の確定申告不要・20万円以下特例)
本記事は2026年5月時点の情報に基づきます。取得費の計算や相続株の引き継ぎ、申告要否は個別事情により異なります。判断に迷う場合は税理士・税務署にご確認ください。