基礎賃金計算ツール|割増賃金の基礎・手当の除外可否判定

基礎賃金 計算ツール|労基法37条5項・施行規則21条に基づき割増賃金の計算ベースを即算定。家族手当・住宅手当の除外可否(連動制のみ可)を自動判定。残業代未払い請求の根拠算出に。社労士相談もワンクリック。

基本給と諸手当から、割増賃金の計算基礎となる「基礎賃金」を即算定します。 労働基準法施行規則第21条が限定列挙する除外可能な7種類の手当を種別プルダウンから選ぶだけで、 家族手当・住宅手当の「扶養連動/一律定額」「実費連動/一律定額」といった除外可否の実態判定も自動化。 1時間あたり基礎賃金まで端数切上で算出し、残業代の検算材料として使えます。

諸手当を除いた基本給を入力してください

1時間あたり基礎賃金を求めるために使います(一般的には160〜176時間)

時間

支給している手当の金額(手当が無ければ0)

家族手当・住宅手当は「連動/定額」で除外可否が変わります

基礎賃金とは?

基礎賃金とは、労働基準法第37条に定める割増賃金(残業代・休日手当・深夜手当)の計算基礎となる賃金のことです。 月例賃金のうち基本給は常に基礎賃金に含まれますが、 諸手当については労働基準法施行規則第21条が除外できる手当を限定列挙しており、 それ以外の手当はすべて基礎賃金に算入しなければなりません。

基礎賃金の算定を誤ると、残業代の支払額が法定を下回り未払い残業代トラブルの原因になります。 本ツールは「どの手当が除外可能か」「どの手当は基礎賃金に含めるべきか」を法令どおりに判定し、 月額の基礎賃金と1時間あたり基礎賃金を同時に出力します。

施行規則21条 — 除外できる手当の限定列挙7種

以下の7種類の手当のみが基礎賃金から除外可能です。 この限定列挙以外の手当(役職手当・職務手当・資格手当・技能手当・精皆勤手当など)は、 すべて基礎賃金に含めて割増賃金を計算する必要があります。

  1. 家族手当(扶養家族の数に応じて変動するものに限る)
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当(住宅費用の実費に応じて変動するものに限る)
  6. 臨時に支払われた賃金(結婚祝金・災害見舞金など)
  7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)

「一律定額支給」は除外不可 — 名称ではなく実態で判定

家族手当・住宅手当の除外可否判定で最も誤りやすいのが、「一律定額支給は除外不可」という点です。 「家族手当」という名称でも全員一律に月1万円を支給するような運用は、 施行規則21条の趣旨(扶養家族数や住居費用の実費に連動した補助)を満たさず、 実質的に本給の一部とみなされて基礎賃金に算入する必要があります (昭和22年9月13日 発基第17号、昭和22年11月5日 基発第231号ほか)。

本ツールでは手当種別プルダウンで「家族手当(扶養家族数に連動)」と「家族手当(一律定額支給)」を、 「住宅手当(住居費用の実費に連動)」と「住宅手当(一律定額支給)」を別項目として分けています。 自分の会社の支給実態に合わせて選んでください。判断に迷う場合は就業規則・賃金規程を確認するか、 社会保険労務士への相談が確実です。

1時間あたり基礎賃金の計算式

基礎賃金(月額)が算出できたら、時間単価は以下で求めます。

1時間あたり基礎賃金 = 基礎賃金(月額) ÷ 月所定労働時間

月所定労働時間は就業規則に定めがあることが一般的で、 月ごとに変動する場合は1年間の月平均所定労働時間を用いるのが実務慣行です (年間所定労働日数 × 1日の所定労働時間 ÷ 12ヶ月で算出)。 多くの会社では160〜176時間程度に収まります。

端数処理 — 労働者有利の原則

本ツールは1時間あたり基礎賃金の小数点以下を切上(Math.ceil)しています。 これは賃金支払における労働者有利の慣行(昭和63年3月14日 基発第150号、平成3年1月14日 基発第40号)に従ったものです。 会社が四捨五入で運用しているケースもあり、その場合は数円単位の差が生じます。

基礎賃金の誤算定で起こるトラブル事例

基礎賃金の算定誤りは、割増賃金の過小支給につながり未払い残業代トラブルに直結します。 典型的な誤りと自力確認のポイントは以下のとおりです。

相談先一覧

「自分の給与明細は基礎賃金が正しく計上されているか?」と疑問を感じたら、以下の専門家・窓口を状況に応じて活用しましょう。 本ツールの計算結果をスクリーンショット等で持参すると、相談がスムーズです。

賃金請求権の時効は原則3年(労働基準法第115条。令和2年4月以降発生分)です。 2023年4月以降に発生した未払い残業代は2026年4月時点でもまだ請求可能な範囲にあります。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 全員一律に支給している家族手当は基礎賃金から除外できますか?

できません。施行規則21条が除外を認める「家族手当」は、扶養家族の数に応じて変動するものに限定されています(昭和22年9月13日 発基第17号、昭和22年11月5日 基発第231号)。 扶養人数に関係なく全従業員に月1万円を一律支給するような運用は、実質的に基本給の一部と判断され、基礎賃金への算入が必要です。 「家族手当」という名称だけで除外可否を判断するのは誤りです。

Q2. 役職手当は基礎賃金から除外できますか?

できません。役職手当・職務手当・管理職手当は、施行規則21条の限定列挙7種のいずれにも該当しないため、全額を基礎賃金に算入する必要があります。 役職が上がるほど基礎賃金が高くなり、時間外労働の割増単価も上昇するのが法令上の正しい扱いです。 この点を誤って除外している会社では、役職者ほど未払い残業代の額が大きくなる傾向があります。

Q3. 精皆勤手当(皆勤手当)は除外できますか?

できません。精皆勤手当・皆勤手当・出勤手当のいずれも施行規則21条の限定列挙に含まれておらず、基礎賃金への算入が必要です。 「皆勤」という性質から除外可能と誤解されることがありますが、法令上の根拠はありません。 皆勤手当を除外して残業代を計算している場合は、遡って精算が必要になる可能性があります。

Q4. 賞与(ボーナス)は基礎賃金から除外されますか?

はい、除外できます。「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」は施行規則21条第7号に明記されており、年2〜3回支給の賞与は対象です。 ただし、「固定賞与」として毎月分割支給している場合(実質的に月例賃金化している場合)は除外不可となることがあります。 また、「残業分を賞与で還元する」という賃金体系は国際自動車事件(最高裁一小 平成29年2月28日)で無効とされているため注意が必要です。

Q5. 未払い残業代を請求するとき、基礎賃金はどう算定しますか?

未払い請求時の基礎賃金は、請求対象期間の各月の実態に基づいて計算します。具体的には、①各月の基本給+除外不可手当の合計を算出し、②その月の月所定労働時間で割って1時間あたり基礎賃金を求め、③実際の時間外時間数と割増率を乗じます。 本ツールで現在の給与明細をもとに試算したうえで、過去の給与明細(源泉徴収票でも可)を持参して社会保険労務士または弁護士に相談するのが効率的です。 賃金請求権の時効は原則3年(労基法第115条。2020年4月以降発生分)で、2023年4月以降の未払いは2026年4月時点でも請求可能な範囲にあります。

関連ツールとの使い分け

本ツール(基礎賃金)で算出した1時間あたり基礎賃金を、残業代・残業単価ツールの入力に使うことで、 給与明細の検算フローが完結します。

計算の根拠・免責事項

根拠法令・通達

免責事項

本ツールの計算結果は参考値です。 実際の基礎賃金・割増賃金は、就業規則・労働協約・個別契約の内容、 変形労働時間制・フレックスタイム制・裁量労働制・歩合給などの適用状況によって変動します。

手当の除外可否の最終判断は実態に基づく個別判定が必要です。 「家族手当」「住宅手当」の名称だけでは判断できず、賃金規程・支給要件・実態を総合的に確認する必要があります。 残業代未払いの相談や賃金規程の法的妥当性チェックは、 社会保険労務士・弁護士・税理士ドットコムなどの専門家にご確認ください。 本ツールで算出した金額は、初回相談時の論点整理に役立つ参考値としてご活用ください。

本ツールは令和8年度(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。