欠勤控除計算ツール
月給・欠勤日数から欠勤控除額を即計算。所定労働日数ベースと暦日ベースの2方式に対応。控除後の支給額も自動算出。
欠勤控除とは?
欠勤控除とは、従業員が欠勤した日数分の給与を月給から差し引くことです。 「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づき、労働の提供がなかった分の賃金を支払わないという考え方に則っています。 就業規則や給与規程に基づいて計算方式が定められるのが一般的です。
ノーワーク・ノーペイの原則と法的根拠
ノーワーク・ノーペイの原則とは、労働契約において「労働の提供がなければ、その分の賃金を支払う義務はない」という考え方です。 労働基準法に「欠勤控除をこう計算せよ」という直接の規定はありませんが、 民法第624条が「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない」と定めており、 これがノーワーク・ノーペイの民事上の根拠とされています。 つまり欠勤控除は、賃金から罰として差し引く「ペナルティ」ではなく、 働いていない分は賃金請求権がそもそも発生しないという考え方を金額に反映する処理です。 このため、減給の制裁(労働基準法第91条で上限が定められる懲戒処分)とは性質が異なる点に注意が必要です。
2つの計算方式の違い
欠勤控除の計算には主に以下の2つの方式があります。どちらを採用するかは会社の就業規則で定められます。 労働基準法に統一の控除方式の定めがないため、各社が就業規則・給与規程で明示しておくことが実務上の前提となります。
- 所定労働日数ベース(その月の所定労働日数で割る): 月給をその月の所定労働日数で割り、1日あたりの金額を算出して欠勤日数分を控除します。 所定労働日数は月ごとに変動するため、1日あたりの控除額も月によって異なります。
- 暦日ベース: 月給をその月の暦日数(28〜31日)で割って計算します。 所定労働日数ベースに比べて1日あたりの控除額が小さくなる傾向があり、従業員にとって有利になるケースが多いです。
実務では、上記の「その月の所定労働日数で割る」方式のほかに、 年間の所定労働日数を12で割った「月平均所定労働日数」で割る方式を採る会社も多くあります。 これは年間所定労働日数240日÷12=月平均20日、というように月平均の所定労働日数で1日あたりの単価を求め、年間を通じて固定する考え方です。 月ごとに所定労働日数が違っても控除単価が一定になるため、給与計算の運用が安定し、残業代の割増単価計算と基準をそろえやすい利点があります。 どの方式を採るかは法律で一つに定められておらず、就業規則・給与規程の定めが基準になります。
控除額の計算例
計算の流れをイメージするための例です(月給・日数は一例です。実際の所定労働日数は勤務先のカレンダーをご確認ください)。
【例:月給240,000円・その月の所定労働日数20日・欠勤2日】
1日あたりの控除単価 = 240,000円 ÷ 20日 = 12,000円
欠勤控除額 = 12,000円 × 2日 = 24,000円
控除後の支給額 = 240,000円 − 24,000円 = 216,000円
同じ条件を暦日ベース(その月が30日)で計算すると、 1日あたり 240,000円 ÷ 30日 = 8,000円、欠勤2日で控除額は16,000円となり、 所定労働日数ベースより控除額が小さくなります。 このように、どちらの方式を採るかで控除額が変わるため、就業規則での取り決めが重要になります。
よくある誤解・注意点
- 欠勤控除は「減給の制裁」ではない: 働いていない分の賃金が発生しないという性質のため、減給制裁の上限規制(労基法第91条)とは別の処理です。 ただし、控除のしかたを就業規則に定めず恣意的に差し引くとトラブルの原因になります。
- どの手当を控除対象にするかは会社ごとに異なる: 基本給のみを控除対象とするか、各種手当を含めるかは給与規程によって扱いが分かれます。 通勤手当や住宅手当など実費・固定的性格の手当は控除対象外とする例もあります。
- 遅刻・早退の控除(不就労時間控除)は時間単位: 日単位の欠勤控除と異なり、遅刻・早退は所定労働時間あたりの単価で時間按分するのが一般的です。 本ツールは日単位の欠勤を前提としているため、時間単位の控除は別途計算が必要です。
- 賃金支払5原則(全額払いの原則)との関係: 労働基準法第24条は、賃金を全額支払うこと(全額払いの原則)を定めています。 一見すると欠勤控除はこの原則に反するようにも思えますが、欠勤控除は「働いていない分の賃金請求権がそもそも発生しない」 という性質のため、発生済みの賃金から差し引く控除(全額払いの原則の例外に該当するか否かが問題になるもの)とは区別されます。 一方で、欠勤控除に名を借りて働いた分の賃金まで差し引いたり、就業規則に根拠なく独自の控除を行ったりすると、 全額払いの原則に抵触するおそれがあります。控除の計算根拠を就業規則・給与規程で明確にしておくことが重要です。
控除できない・対象外となるケース
- 年次有給休暇を取得した日: 有給休暇は賃金が支払われる休暇のため、欠勤控除の対象になりません。 付与日数や取得義務の計算は有給休暇計算ツールをご利用ください。
- 会社都合の休業: 使用者の責に帰すべき事由による休業は、労働基準法第26条により平均賃金の6割以上の休業手当の支払い義務があり、単純な欠勤控除はできません。
- 遅刻・早退(前述の時間単位控除)や半日単位の取扱い: 本ツールの日割り計算とは別の計算が必要です。
注意事項
実際の欠勤控除の計算方法は、各企業の就業規則・給与規程によって異なります。 本ツールは一般的な計算方式に基づく概算であり、正確な金額は勤務先の人事・労務担当部門にご確認ください。 また、遅刻・早退を含む半日単位の控除や、各種手当の控除対象可否なども企業ごとに異なります。
欠勤控除後の給与から差し引かれる社会保険料・所得税の手取り額を確認したい場合は 給与手取り計算ツールもあわせてご利用ください。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 欠勤控除と減給の制裁はどう違いますか?
欠勤控除は、働いていない時間分の賃金がそもそも発生しないという考え方(ノーワーク・ノーペイ)に基づく処理です。 一方、減給の制裁は懲戒処分として賃金を減らすもので、 労働基準法第91条により「1回の額が平均賃金の1日分の半額」「総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1」を超えてはならないという上限があります。 性質も根拠も異なるため、混同しないよう就業規則で区別して定めておくことが重要です。
Q2. 月の途中で入社・退社した場合も同じ計算ですか?
考え方は近いですが、入退社月の給与は「日割り計算」として処理されるのが一般的で、 在籍していなかった日数分を差し引く点で欠勤控除と似た計算になります。 所定労働日数ベース・暦日ベースのどちらで日割りするかは会社の規程によります。 正確な取扱いは勤務先の給与規程をご確認ください。
Q3. 欠勤しても社会保険料は差し引かれますか?
はい。社会保険料(健康保険・厚生年金)は標準報酬月額をもとに決まるため、 欠勤で実際の給与が下がっても、その月だけ保険料が自動で下がるわけではありません。 欠勤控除後の支給額から、通常どおり社会保険料・所得税が差し引かれます。 手取りの目安は給与手取り計算ツールで確認できます。
Q4. 控除額が月給より大きくなることはありますか?
欠勤日数が多く、1日あたり控除単価 × 欠勤日数が固定的な支給額を上回る場合、 理論上は支給額がゼロに近づきます。 ただし手当の控除対象範囲や端数処理は会社ごとに異なるため、 月の大半を欠勤したようなケースの精算は人事・労務担当に必ず確認してください。
Q5. どちらの計算方式が正しいのですか?
法律でどちらか一方が正解と定められているわけではありません。 所定労働日数ベースと暦日ベースのいずれも、就業規則・給与規程で明確に定めて継続的に運用していれば差し支えありません。 就業規則に定めがない場合は、労使でトラブルになりやすいため、まず社内規程の整備を社会保険労務士等にご相談ください。
出典・編集情報
本ツールおよび解説は、以下の公的機関の公表情報を一次ソースとして作成しています。
- 労働基準法(昭和22年法律第49号) — e-Gov法令検索 (第24条 賃金支払5原則=全額払いの原則/第91条 減給の制裁の上限。欠勤控除との性質の違いの根拠)
- 民法 第624条(報酬の支払時期)明治29年法律第89号 — e-Gov法令検索 (労務の履行後に報酬請求権が発生する原則・ノーワークノーペイの民事上の根拠)
執筆: 業務計算ポータル編集部
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※ 計算結果は参考値です。正式には税務署・税理士・社会保険労務士等にご確認ください。
本ツールは令和8年度(2026年)の税率・基準をもとに計算しています。最新の情報は各省庁のWebサイト等でご確認ください。
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